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2008年1月

2008年1月31日 (木)

人生は自分の思う通りになる(?)

「人生は自分の思う通りになる」,「強く思えば夢は実現する」,「目標を紙に書いて成功しているときのイメージを思い描けば実現する」などという言葉を読んだり聞いたりすることがある。こういうことを言うのはビジネスで成功したひとに多いような印象を持っているが,スポーツ選手などがよくやっているイメージトレーニングも同じような考えからきている方法論ではないだろうか。「ダメだと思えばほんとにダメになってしまう」とか「諦めないで頑張れば努力は報われる」のような考えも根っこは同じ発想だろう。

わたしはこの種の考え方は日常の自分を鼓舞するための方便としてバカにはできないと思っているが,同時に心の底では「ふん」と鼻で笑いたい気持ちも強く持っている。何故なら,それは結局トートロジー(tautology,同義反復)に過ぎないからだ。どんなに大きな失敗をしても,厳しい環境におかれても自分の目標を強く持ち続けられるひとはそりゃ成功するだろう。ただ,ほとんどの人間は,どんな不利な状況におかれても目標を強く抱き続けるということができないだけだ。

なんでこんな当たり前のことがわからないのだろうと不思議に思う。ビジネスの世界ではわけのわからない(とわたしには思える)教育プログラムやら研修プログラムを高い値段で企業に売り込みにきて,それをまたホイホイと大金で買って社員にそのような研修を受けさせる会社が少なからず存在する。また,書店に行けばその種の本(古典的ナナポレオンヒルの本やマーフィーの黄金法則など)がたくさん並んでいる。

知っているくらいだからわたしも実はそういう本を少なからず読んだことがある。そして読んだ直後はそれなりに感心しているほうだ。でも,自分が変ったか?変らない。いや,少しは変ることもあるかもしれないが,それは自分が信じられる範囲内での変化でしかない。

この問題は実は畢竟,人間は自由であるか?という問題とも関係している。高校を卒業して受験浪人でもなく文字通りふらふらしていた(いまならさしずめ引きこもりに近い)頃,毎日することがないので本ばかり読んでいた。当時は厭世的な主張の書物を好む傾向が強かったが,その極めつけはマーク・トウェインの「人間とは何か」という本だ。トムソーヤーしか知らないひとには驚くべき内容だろう。主張は人間機械論で別に難しい本ではない。ただ,人間機械論を納得したらそれだけで人生悩みなく生きていけるほど単純ではない。わたしはむしろ小林秀雄が「考えるヒント 3」という講演記録集のなかで言っていた(どの講演だったか忘れた。ベルグソンかドストエフスキーの話のどちらかだったと思う),「常識的に考えれば世の中のことはすべて必然的に起こる。しかし自由はある。私たちが生きているということは自由を信じていることにほかならないからだ」という言葉に強く勇気づけられた。

話が少し広がり過ぎてきたが,人生は自分の思う通りになる,とか,夢を諦めずに追い続けろ,というような言葉がテレビや雑誌で流されることは世の中全体として考えた場合,多くのひとをけっして幸福にしないとわたしは思う。それを信じて成功するひとたちはもちろん幸福になるのだろうが.....。

(うーん,今日は哲学的なことを書いたなあ。仕事は?あ,全然はかどっていません)。

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2008年1月28日 (月)

「感情的苦痛」?

「感情的苦痛」とか「感情的経験」という言葉を聞いて違和感を感じないだろうか。わたしは以前から英語のemotionalという言葉を機械的に感情(的)と訳すことに抵抗を感じてきた。ところが,emotionalという言葉は英語を読んでいるとしょっちゅう出てくる。英語でemotionalとなっている言葉の多くは,精神的と訳したほうが正しいのではないか。例えば,精神的苦痛,精神的サポート,などは日本語としてしっくりくる言葉だが,感情的苦痛,感情的サポートはどうも日本語として落ち着かない。ところが,emotional agony,emotional supportという言葉は英語では普通だ。ちなみにGoogleの完全一致検索で精神的苦痛を検索すると,44万4,000件ヒットしたが,感情的苦痛は1万4,400件だ。どうも日本語で精神的という場合は,英語のemotionalを含むもっと幅広い意味,あるいはむしろemotionalに近い意味で使われる場合が少なくない気がする。実際,英語ではほかにspiritual(肉体に対する精神),mental(頭脳の働きとしての精神)という言葉もある。いま訳している本にemotional experience(このexperienceという言葉もけっこうやっかいだ。経験とだけ訳して気にならないひとは翻訳には向かないと思う)というのが何度も出てきて立ち止まってしまっている。こんなだから仕事がはかどらない(喝)。

Google

2008年1月27日 (日)

学会取材

某社の仕事で日本てんかん外科学会(浜松)を取材してきた。これから学会取材の仕事もいろいろやることになると思うが,発注先から取材依頼を受けた発表内容の詳細をここで書くことはできないので,それらと抵触しない自分の興味で聞いた演題や学会全体の感想などを時々書いてみたいと思う。

てんかんについてはこれまでほとんど知識がなかった。にわか勉強で少し参考書類を読んで行ったが,まず有病率の多さに驚いた。データにより差はもちろんあるが,大体0.5~1%(200人~100人に1人)というのがほぼ認められている数字のようだ。てんかん,というとなんだかすでに克服された疾患のような印象を持っていた自分の無知を恥ずかしく思った。

てんかんは10歳くらいまでに発症する例が多いようだが,乳児期の早い段階で発症し,予後の悪いcastrophic epilespsy(破局てんかん)というのがあり(薬物治療の効果がほとんど期待できない),そのような患児の生活を想像すると涙が出てきそうになった。

ランチョンセミナー(ファイザー提供)は,implantable technology(埋め込み型治療システム)に関する発表で,ITN Energy Systemsという会社の研究者が発表していた。内容は十分理解できなかったが,人工心臓でもその他でも同じ問題,つまり,生体適合性や動力(バッテリー)の問題が大きな課題のようだ。

日本におけるてんかん外科臨床研究,というセッションでは脳磁図(MEG)の開発・研究に初期の頃から関わって来られた広南病院脳神経外科の中里先生の発表が印象的だった。false negativeは許されるがfalse positiveの所見を出さないよう注意している,という発言には医師としての誠意を感じた。

てんかんにもさまざまな種類があり,70~80%は薬物治療でコントロールが可能だようだが,それ以外は難治性であり,てんかん外科の出番だが,外科手術で治る(症状がかなり軽減される)てんかんがあることは,医療関係者ですら知らないひとが少なくないようだ。

2008年1月23日 (水)

ゼチーアは苦戦しそう-米国の製薬企業もたいへん

ちょっとメディカル,なんて書いていながらグチっぽい日記ばかりじゃ読者が増えそうもないので少しは医学や製薬関連のニュースを紹介せねば,と思ってネットサーフィン(←今時誰も使わないことば)していたら,興味深い記事を見つけた

Vytorinというシンバスタチンとゼチア(日本では正しくはゼチーア)の合剤は,シンバスタチン単剤と比べて有効性に差がないという試験結果が発表されたそうだ。この試験はENHANCEという試験で,700例ほどを2年間追跡した結果だそうだ。VytorinのほうがLDLコレステロール低下作用は大きかったようだが,動脈硬化に対する効果ではシンバスタチン単剤と変らない,つまり,ゼチーアを追加してもベネフィットは何もないということらしい。

この試験結果だけではないが,米国ではいま製薬企業がバッシングを浴びているようだ。ひとつには大統領選の争点としてヘルスケアの問題が取り上げられているからであり,今日のWall Street Journalにもそういう記事が出ていた。

製薬企業バッシングと言えば,多くの抗うつ薬の有効性が実際よりも大きく伝えられているらしい。このこともWSJの上の記事に出ているが,New England Journal of Medicineにそれに関する分析記事が出ているようだ。その論文はまだ読んでいないが,これについては,昔から言われているPublicationバイアス,つまり,いい結果が出た試験は論文になりやすいが,効果が確認できなかった試験はペーパーにしてもジャーナルに採択されない,ということがあるのだろう。

米国の製薬企業はたいへんだ。でも日本でもゼチーアはバイエルが売り出しているが,こんな試験が出たらいいプロモーションはしにくいだろう。

独りの気楽さと辛さ

「独り企業」(one-man operation)を始めてで3週間あまり,不安だらけ(サラリーマン時代によく抱いていた不満はないが)であることは何度も書いたが,今日のような天気(私の住んでいる埼玉西部ではこの冬はじめての積雪じゃないかな)の日はさらに気分が滅入る。独りでいることは気楽だが行動選択に影響を与えるのは自分の意志しかないので,よく言われることだが,自己管理が非常に重要だ。

それでも私には家族(配偶者と幼子二人)があるので彼らのことを思い浮かべることで頑張る気持ちが出てきたりもするが(それでも萎えるときもある),独りで生活しているひとはどういうふうに生活を「管理」しているのか不思議に思うことがある。私も結婚するまでの19から33歳まで,独り暮らしをしていたが,特に休みの日で人と会う予定もない日などは淋しさがこみあげてきたものだ。独りの気楽さと辛さ,これは仕事でも生活でも共通するものがあるのかもしれない。どうもこういう天気の日は仕事に身が入らない。

2008年1月21日 (月)

「不安はあるけど不満はない」

まもなく1月の「給料日」がやってくる。女房には毎月サラリーマン時代と同じ金額を25日に振込むと約束したのでプレッシャーを感じる。とはいっても3月までは貯金を取り崩す予定だが,4月以降の事務所経費(仕事場の家賃等),国民年金と国民健康保険,生活費のめどがたたない。

仕事がはかどらないのでちょっと散歩に出て近所の書店に入った。そこで,会社を辞めるのは怖くない (幻冬舎新書 え 1-1) という本を手にとった。著者の江上氏は第一勧業銀行か日本興業銀行のどちか(いずれにしろ現・みずほ)に勤めていたひとで,高杉良の金融腐敗列島のモデルとなったひとだ。ま,私はもう会社を辞めた身なので会社を辞めるのは「怖くない」けれど,目次をめくっていてひとつ気にいった言葉を発見した。それは,

「不安はあるけど不満はない」

という言葉だ。これ,いまの私の実感だ。正確に書くと

不安はあるけど不満は少ない」って感じだろうか。いずれにしろ,たらたら不満を持って会社に行かなくていいというのは精神衛生上いいものだと思う。さ,仕事しよ。

2008年1月18日 (金)

子育ての楽しみと苦しみ

4歳の男の子と2歳の女の子,専業主婦の配偶者,おまけに莫大な住宅ローンまで持ちながらたいしたあてもなく会社員から足を洗いフリーランスをはじめたわたしは常識的には無謀でバカなヤツであろうと思う。元旦の開業かまだ(もう,か?)3週間だが,厳しさをひしひしと感じる。仕事がきていないわけではない。だが,一人でこなせる量はたかだか知れている。サラリーマン時代はあの程度の仕事量で何故あれほどの大金(といってもたいした金額じゃないが,社会保険や経費を考えるといまのわたしには大金におもえる)を社員に払うことができたのか不思議に思う。タイトルと内容がずれてきてしまっている。子育てに限らず,この世の苦しみと楽しみは同じものを違う角度から見ているだけのような気がする。子どもがほしいのにできないときは,子どもができたら,子育てができたらどれほど幸せかとおもう。子どもができ,泣き叫んだりわがままを言う子どもになやまされると一人の時間がほしいとおもう。一人だけの仕事場で家族の生活費を稼ぐためにしこしこと原稿を書いていると(おれのこと),家で子どもと接している配偶者は楽でいいなとおもう。その配偶者から子どもがわがままでイライラする,たまには一人の時間をくれ,というメールが何度も入ると気がくるいそうになる。子育ての楽しみはどこにある。仕事の楽しみはどこにある。

2008年1月17日 (木)

Windows Vista購入しました

出張用のモバイルノートパソコンを買った。NECのLa Vie (LJ750)だ。B5ノートで約1.2kg。この手のパソコンではパナソニックのLet's noteが有名だがLJ750ははるかに安い。OSはWindows Vista-Home Premium。実はVistaは今回がはじめて。さっそく箱を開けてインターネット接続(事務所のフレッツ光とモバイル用のウィルコムダイヤルアップ)を設定したがこれは問題なくスムーズに終わった。しかし,どうも画面の切り替わりが遅い。にぶい感じがする。しかも,アエロ(透下効果?)だかなんだかしらないが,画面がXPとずいぶん違い印象だ。LJ750の軽さには満足しているがVistaの操作になれるまでしばらくてごずりそうだ。これ一台でこれから3年くらいはガンガン稼がなければいけないのに,なんだか不安だ。

2008年1月16日 (水)

フリーはつらいよ

1月からサラリーマンを辞め無謀なフリーランス生活に入ってつくづく感じるのは,給料日はサラリーマンにとって待ち遠しいものだが,自営業者にとっては近づいてくる恐怖だということだ(ちょっとおおげさか?)。会社を辞めると言ったとき女房は当然のことながら猛反対した。最後に納得させるために私が言ったのは「これまでと同じ日(25日)に同じ金額を銀行に振込む」という言葉だった。もっとも,開業後の何か月間かは収入のめどがたたないのはわかっていたのでとりあえず5月までの生活費は準備してスタートしたが,減っていくばかりの貯金通帳がこれほどおそろしいものとはいまさらながら驚いている。うーん,頑張らねば。

2008年1月15日 (火)

翻訳について

私は医学文献や関連書籍の翻訳(和訳がほとんど)も仕事にしているので翻訳というものに非常に意識的に関わっている。ひとによっては翻訳などチマチマとやる暗い仕事と思うかもしれないが(そういう面があるのは否定できない),いざ真剣に取り組んでみるとなかなか奥が深くまた簡単な技術ではないと感じる。山岡洋一という有名な翻訳の大家(私にとっては雲の上のひとであり面識もないのであえて敬称をつけない)が書いた翻訳とは何か―職業としての翻訳 という本は仕事として翻訳に取り組もうというひとにぜひおすすめしたい。ところでいま,患者さん向けの手引き書(テーマは予防的卵巣摘出手術)を訳しているのだが,患者さん向けであるゆえ,内容も文章も平易で,一読した後,これなら3~4週間で訳せるだろうとたかをくくったところ,思うようにすすまなくて途方にくれている。まとまった翻訳をしばらくしていなかったせいもあるのだろうが,訳文がどうも翻訳調から抜けられないのと,です・ます調で訳しているので,文末が単調になりすぎてとても稚拙な翻訳になってしまう。翻訳技術がないからだ,と言われればまさにそのとおりなので返す言葉がないのだが.......。これからときどき,翻訳に関することも書いていきたい。

2008年1月13日 (日)

アメリカはすごいなあ

昨夜,ニュース番組で卵子凍結保存の米国の状況を取材した短い特集を見た。私と女房は長男を5年間の不妊治療のすえ,体外受精(顕微授精)により授かったので不妊治療については多少知識があるし,仕事がら常に興味を持っている。受精卵に比べて卵子(未受精卵)の凍結保存が難しいことはもちろん知っていた。日本の専門クリニックの卵子保存技術が世界的にも最先端の水準にあることも理解している。しかし,米国は普及の度合いや広がりがすごい。すぐにビジネス化され,広まる。間違った広まり方もするだろうが,昨夜の番組を見るかぎり,卵子の年齢(卵子の若さ,鮮度)が妊娠が成功する最も重要なファクターの一つであるということは米国女性の間で日本よりも理解されているような印象を持った。日本では35歳を過ぎても「いざとなれば不妊治療を受ければ子どもを作ることは簡単」というような間違った考え方を持っている女性が増えているような気がする。不妊には男性側の因子,女性側の因子があり,女性側の因子には排卵因子(うまく排卵しない),卵管因子(卵子が卵管をうまく通過できない),子宮因子(子宮に受精卵が着床できない)などがあると言われている。現在,顕微授精を活用すれば(男性側が無精子症だとまた問題は別だが),受精卵まで到達するのは簡単だ。しかし,着床,それから妊娠継続となると成功率はぐっと下がる。その原因もいろいろあるのだろうが,卵子の若さが大きな要因と言われている(卵子の細胞質移植などは,卵子を若返らせる技術だ)。したがって,年齢が若いうちに卵子(未受精卵)を凍結保存しておいて,40歳を過ぎてから戻す(精子はインターネットで売っているものを買う。テレビで米国の様子が出ていたがやはり驚いた)というのは理にかなっているとは言えるのだろう。しかし,やはり米国のような状況をすばらしいとは思えない。いろいろ考えさせられた。

2008年1月11日 (金)

野菜や果物はいいけど何がいいかはわからない?

American Journal of Clinical Nutrition (2008; 87: pp 64-69)に,野菜や果物をたくさん食べる人は脳卒中リスクが低い,という研究結果が発表された。2万人以上の人を10年間調査した研究で,イギリス・ケンブリッジ大学公衆衛生学のPhyo K. Myint氏らによるものだ。何をいまさら,という気がしないでもないが,これまで,ビタミンCやEのサプリメントをたくさん摂取しても脳卒中が有意に下がるという結果はほとんどなかった。Myint氏らの研究では,ビタミンCの血中濃度が一番高かった群の人の脳卒中リスクは一番低かった群の人より42%低かったという。ただ,このビタミンCが野菜や果物の摂取によるものか,またビタミンCが脳卒中の予防の要因(原因)かどうかは証明されていない。

男はつらいよ

2008年,新年あけましておめでとうございます。

昨年の12月末でサラリーマン生活にピリオドを打ち,フリーランスとして生活をはじめた中年オヤジです。まだ幼い子ども2人と専業主婦の女房を持ちながらこのような道を選ぶなど,世間一般の常識では考えられない選択で自分でも不安いっぱいです。年末まではバンジージャンプのジャンプ台に立っている気分,年があけた今はジャンプしてまだ空中にいるような妙な開放感と恐怖心が混ざった心持ちです。おそらく1年以内,イヤ,ひょっとしたら6月頃までには着地地点まで達して,ロープが切れないで無事バウンドするか,そのまま地上に墜落するかの結果が出るでしょう。何かの偶然でこのブログをご覧になった方,時々覗きにきてまだ生きているかどうか声をかけてください。なお,私は医学/医療関連の取材や記事執筆,翻訳などが仕事なので,「ちょっとメディカル」な話題が多くなるかもしれませんが,社会や政治,文化などについてもいろいろ書いていこうと思います。

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