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2008年3月

2008年3月30日 (日)

福岡空港長蛇の列に思う

福岡で開かれている日本循環器学会(日循)を28日と29日取材した。ただ,今回は直接仕事を依頼された演題以外はきちんと聴講しなかったので,このブログで書けるようなものはなにもない。

びっくりしたのは帰りの福岡空港で,出発ロビーから搭乗ゲートへ入るセキュリティチェックのところにものすごい長蛇の列ができていたことだ。日循から戻るひとがかなりいたのだろうが,それにしても,事前の予約状況でどの日の何時くらいにどの程度の混雑があるかは予想できるはずなのに,空港も航空会社もなんの準備も対策も考えていなかったとしか思えない。

もうひとつ,今日の行列で改めて考えたことがある。以前からよく思っていたのだが,国内でも海外でもそうだが,空港が非常に混んでいるとき,出発便が近いひとを係員などが呼び出し,並んでいるひとを飛ばしてどんどん先に進めることがある。今日の福岡でも同じことがあったが,もっと大行列でひどい「順番抜かし」をされたことがある。

わたしは国内線の場合は1時間以上前,国際線の場合は2時間半以上前には空港に着くようにしているので,混雑に合った場合はいつも「順番抜かし」される側だ。しかし,なかには「確信犯」じゃないかと思いたくなるほど,たいていぎりぎりに空港にきて,いくら混雑していようが自分のフライト時間が近づいているのだから長い列ができていても先に進めるのは当たり前,当然の権利,のようにふるまうひとがいる。

あるいは,チェックインさえしてしまえばこっちのものとばかりに,みやげ物を買ったり,食事などに時間を取られて,出発時間になってもゲートにやってこないひともいる。

もちろん,航空会社もいつまでも待っているわけではなく,どこかで時間を区切って,どうしても現れない人間は置いたままにして出発するのだろうが,どうも,他人の時間を尊重しない一部のひとたちを怒らせないため,あるいはそのようなひとたちからのクレームをさけるために,時間に余裕を持ってきている人の時間を無駄にしているような気がする。

混雑時の空港の行例は,早く空港に到着した側がいつも割を食う気がして非常にいやである。

2008年3月25日 (火)

携帯電話の使い過ぎにご用心--不妊の原因となるかも

携帯電話がペースメーカーをはじめとする医療用電子機器に影響を及ぼすという心配はずいぶん以前から言われているが(これもどれほど根拠のあることなのかわたしは知らない),携帯の使い過ぎが精子の数や運動性に悪影響を及ぼすという試験結果がFertility and Sterilityに発表された

オハイオ州の不妊治療クリニックで行われた試験だが,361人の男性を携帯電話の1日の使用時間により4群に分け(不使用,2時間未満,2~4時間,4時間以上),各群の精液所見(精子数,運動性,生存率[viability],形態学的異常の有無)を比較検討したという。その結果,携帯使用時間が長い群に属する男性ほどこれらの精液所見が悪いことが確認された。

今回の試験には結果に影響を与えた可能性のあるいくつかの交洛因子(confounding factors)の存在が予想され,単純に携帯使用時間の長さと精子所見とを結びつけるのは早計だが,携帯中毒の男性にとってはちょっと怖い結果かもしれない。

もっとも,男性の精子の数や運動性が落ちているとか変らないという研究はかなり以前からあり(環境ホルモンが「流行った」頃,環境ホルモンのせいで男性の精子が減っている。これが不妊の増加につながっているという節が流布された),いまだに結論は出ていないようではある。

ま,わたしの携帯は1日1~2回しか鳴らないので全然心配いりませんけど(淋)。

2008年3月11日 (火)

intention-to-treat解析無くなる?

ジョージア工科大学(GIT)のMaysam Ghovanloo講師(assistant professor in GIT's School of Electrical and Computer Engineering)らが,服薬遵守を正確にモニタリングできる装置を開発した。磁気ネックレスのようなものを患者が身につけ,薬(この薬も磁気がつけられた特別な薬だ)を飲んで食道を通過すると,シグナルがネックレスに伝わり,その情報が携帯電話のような装置に伝わり,そこから,大学や病院に送信されるというしくみらしい。

臨床試験などの服薬コンプライアンスの改善や,実際の臨床における薬の飲み忘れを減らすのに役立つことが期待される,とあるが,そもそも,患者がこの装置をつけなければ何の情報も入ってこないのだから同じことなんじゃないだろうか。

詳細は昨年発表された論文(December 2007 issue of the IEEE Sensors Journ)に出ているとのことだが.....。(読んでいないのでわかりません)

2008年3月10日 (月)

想像力の限界--知るとやるとは大違い

熊本県知事選挙に東大法学部教授の蒲島郁夫氏が出馬して話題になっている。週刊朝日,3月7日号の記事を読んで知ったのだが,蒲島氏は日本選挙学会理事長や世界政治学会副会長なども勤めた政治学の泰斗である。熊本出身の同氏は高校を卒業後,農協職員になり,その後,農業青年としてネブラスカ大学に留学。それからハーバード大学で本格的に政治学を勉強して,帰国後,筑波大学に教員としての職を得たというユニークな経歴の学者である。それはそれで興味深いが,ここで書きたいのは彼の経歴や選挙のことではなく,週刊朝日の記事に載っていた「選挙と比べると学者はぬるま湯」という小見出し以下の記述だ。

そこで蒲島氏は選挙の準備段階での様子を説明し,「毎日4時間睡眠です。これからみれば学者生活はぬるま湯でした」と言っている。正直な感想だと思うが,これを読んでわたしは常日頃思っていること,そして,昨年の12月でサラリーマンを辞め,自営業者として3か月弱仕事をしていて改めて強く感じることを再認識した。それは,「頭で考えることと,実際にやることは大違い」ということだ。

医師が癌などになって「初めて患者の気持ちがわかった」というような内容の闘病記などが時々出版される。きちんと探せばその種の本は10冊以上はあるのではないだろうか。わたしはどれもまともに読了したことはないが,そのような本がでるたびに「何を言っていやがるんだ」と思っていた。自分が癌やその他の疾患に罹患し,辛い検査や闘病体験をして初めて「患者さんの」気持ちが理解できた,など,そんな鈍感なことがよくも言えたものだと思うからだ。

自分が直接経験したことしか正しく理解あるいは共感できないのであれば,人間同士,理解しあったりわかりあったりすることは不可能だ。陳腐な言い方だが「子どもを持ったことがない人間に人生がわかるものか」みたいな言い方をする人が時々いる。さすがに最近はそのようなことを言う人は少ないかもしれないが,それでも,「いつまでも結婚しないと半人前」みたいな考えが完全になくなっているとは言えないだろう。

こういうことを言うひとに完全に欠落している視点は,もし「子どもを持ったことがない人間に人生がわからない」のであれば,同様に,子どもを持ったひとは,「子どもを持たずに夫婦2人だけで老後を迎える夫婦の気持ちはわからない」はずだし,結婚を経験したひとは,「一生独身で通した人の気持ちは理解できないはず」だということだ。

何が言いたいかというと,人間の想像力というものがきちんと機能していれば,おかれている立場や状況,能力の異なるひとのあり様や気持ちがある程度は理解できるのではないかということだ。われわれが文学や芸術に親しみ,人生において知恵と呼ばれるものを獲得すべき理由はそのような能力,想像力を身につけるためではないのか。

しかし一方,やって(経験して)みないと本当に理解できない,ということもその通りだと最近つくづく思う。独立するまでサラリーマン編集者として,フリーランスのライター,デザイナー,カメラマンなどに仕事を発注する立場にあり,彼らの「立場」や「仕事のやり方」はかなり理解しているつもりだった。だが,自分が実際にフリーランスになってみると,やはり違う。独立後の生活の様子を十分想像し,シュミレーションしたつもりでいたにもかかわらず,やはり,予想以上にしんどい部分がある。

人間の想像力は偉大で重要だが,それでもやはり,見たり知ったり読んだりするだけと,実際に経験することは大違い,ということか。

2008年3月 6日 (木)

恐ろしいデータ

ちょっと古いデータだが,ある本を読んでいて恐ろしい数字に出くわした。平成10年度版の中小企業白書によると,個人企業(自営業)を独立開業して1年未満で約30%が廃業,3年未満でさらに40%が廃業(つまり,3年続く人は30%),5年未満だと80%が廃業,そして,20年持つひとはなんと4%。わたしはこれから20年は現役で仕事しなければならないのだが,それはつまり4%に入らなければならないということだ。嗚呼。

2008年3月 4日 (火)

学会取材

品川で開催された日本画像医学会を取材してきた。仕事として聞いたのは消化菅画像診断をテーマとしたワークショップであったが,取材した演題以外では,カプセル内視鏡の現状を紹介した慶応義塾大学内視鏡センターの緒方氏の発表が面白かった。

10年以上前だったか,米国消化器病学会(AGA)の学会主催の記者発表で,まだ米国でも承認されていないカプセル内視鏡の実物を手にとってみたことがある。薬のカプセルなどよりもはるかに大きくこれを飲み込むのはたいへんだろうなと感じた記憶がある。イスラエルの会社が作ったそのカプセル内視鏡はその後米国でFDAの認可を受け,現在,広く臨床応用されている。日本でもそのカプセル内視鏡が昨年ようやく承認された。オリンパスなどの日本の会社も同種のものは当然開発していて,それらもまもなく承認されるらしい。

緒方氏の発表のタイトルは「カプセル内視鏡による全消化菅診断は可能か」というもので,答えは現時点では無理,というものだった。カプセル内視鏡は少なくとも現時点では小腸内部の撮影・診断を目的としたものであり,食道,胃,十二指腸,大腸などは偶然にきれいな写真が撮れることはあっても安定した診断診断の手段とはなりえない。言われてみればなるほどという気がしたが,それまではなんとなく口から入れるのだから,通過点の写真はみな撮れるんじゃないかと思っていた。

現在のカプセル内視鏡は,それ自身に移動する機能がないので,口から入れたあとは消化菅の動きに流されるにまかせるしかない。したがって,食道などは一瞬で通過してしまうし(それを防止するために飲み込んだあとしばらくは横になっているなどの方法も試みられている),胃や十二指腸にも長く留まっていない。逆に,消化菅に狭窄があったり,動きが悪い場合は,カプセルが滞留し,最悪の場合は,取り除くための内視鏡手術が必要な場合もあるという。また,大腸から直腸付近では残渣がカプセル周囲につききれいな画像は得られない。

それでも,うまく捉えられた場合の画像(シャッターチャンスが偶然合った場合)の鮮明さは非常にきれいで驚いた。初期の頃に比べて,1分間あたりの撮影コマ数も増えているので,あと10年もすれば小腸内視鏡はかなり普及していのではという感想を持った。

昼飯代を節約するために入ったランチョンセミナーI,「癌の分子イメージング:内科・外科治療への実用を目指した最新の画像診断技術の開発」(共催/田辺三菱製薬)は難しい内容だったが,ナノテクノロジーを利用した現在の最先端の研究内容が披露されたいへん興味深く感じた。講師のHisatake Kobayashi氏は日本の大学から米国へ留学され,その後一旦帰国した後,現在は米国の癌研究所(NCI)のBasic Science Section/Molecular Imaging Programで仕事をされている。現在の技術ではナノレベルのさまざまなサイズの分子を作り出すことができ,それらを画像診断の造影剤として使用することで,臓器や部位,細胞の様子を個別に映し出すことができるそうだ。つまり,臓器や部位,細胞の種類(癌細胞か癌細胞でないかなど)によって透過・拡散しやすいサイズの分子が違うので,それらを組み合わせることで特定の部位の画像が鮮明に映し出されるというわけだ。

乳癌手術などの際,リンパ節郭清の要不要を判断するために(全身への転移の有無を判断するために)センチネルリンパ節への転移の有無(陽性/陰性)を調べるが,その考えが正しいこと,つまり,転移癌では本当にリンパ節にまで癌細胞が転移していることが画像で証明され,これは大きなニュースとなったそうだ(知っているひとはすでに知っていることなのだろうがわたしは知らなかったので感心した)。

ナノテクノロジーは米国では将来の研究分野として国家戦略の1つに指定されているそうだ。そのNCIで日本人研究者が活躍しているのはすばらしいことではあるが,なんとなく日本大丈夫か,という気持ちにもなった。

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