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2008年4月14日 (月)

「親の『ぼけ』に気づいたら」感想

「親の『ぼけ』に気づいたら」(斎藤正彦著,文春新書)という本を読んだ。著者の斎藤氏は,高齢者の精神医療を専門とする医師で,現在,よみうりランド慶友病院で副院長をしている。実際の患者さんをモデルにした架空のストーリーを軸に,さまざまなエピソードや解説を交えた構成で,読みものとしておもしろく,しかも深く考えさせられる内容の本だ。

この中で斎藤氏は,抽象的な概念で<痴呆老人>を一般化することを強く諌めている。介護やケアのあり方についても,あくまでも,個々の患者さんの性格や置かれた環境(家族の状況も含めて)にもどつき,それぞれの家族が自分たちに最も適した介護の仕方を考えるべきであるとしている。これは,あたりまえと言えばあたりまえ過ぎることであるが,ともすればマニュアル的な解説本が多いなかで,特に新鮮に感じた。もちろん,実際の介護に役立つ知識やアドバイスも豊富に記されている。

また,正しい知識と冷静な判断力の重要性,そして,介護側の人々の健康,幸せの維持が長期におよぶ介護をうまく続けるための鍵だしている。これも,それだけ読むと特に目新しい感じはしないが,この本を通読するとその重要性が説得力を持って伝わってくる。

痴呆性疾患にかかった身内に対する対処の仕方が中心の本であるが,病気の種類に関わりなく,高齢の親の介護に直面せざるを得ない現代のわれわれにとって大切な教訓や情報がつまった一冊だと思う。

尚,初版が平成17年1月ということも関係しているのかもしれないが,この本では「認知症」という言葉は,「初めに」の章でそれを使っていない理由を説明している箇所を除いて使われていない。

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