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2008年4月 1日 (火)

WHI中止から3年でも残るがんリスク

2002年にWomen's Health Initiative(WHI)試験が中止され大ニュースになったが,中止後約3年経過した後の,ホルモン補充療法(HRT)群とプラセボ群の経過を報告した論文が再びJAMAに掲載された

WHIはHRT(結合型エストロゲン[CEE;正確には結合型ウマエストロゲン]0.625mg + プロゲスチン[medroxyprogesterone]2.5mgを毎日服用)群とプラセボ群に割り付けられた約16,000人を比較検討した大規模試験で,5.6年経過後,中止された。

理由はHRT群に冠動脈疾患,脳卒中,血栓症,乳癌(浸潤性)リスクが有意に高いことが明らかになったからだ。一方,骨粗鬆症や結腸・直腸がんの発症リスクはHRT群で低くなっていた。

今回,WHI中止時に試験に登録されいた女性のほぼ95%を平均2.4年追跡調査したところ,冠動脈疾患,脳卒中,血栓症,骨粗鬆症,結腸・直腸がんの発症率は,WHI開始時点と同程度に戻っていたらしい。つまり,HRTのリスクもベネフィットも,HRTを中止して3年経過した時点では消失していた。

ところが,がん全体の発症リスクはHRT群に割り付けられていた女性で有意に24%高く,乳癌も元プラセボ群よりも高い罹患率が確認された(こちらは有意差なし。HR = 1.27,95%CI = 0.91~1.78)。

また,global index of risks and benefits(総合的なリスク/ベネフィット評価)も元HRT群で12%高かった(=よりリスクが高い)。

ちょっと怖いのは,元HRT群のなかでも服薬コンプライアンスが最も高かった群の女性では,試験中止後の全因死亡率(all-cause mortality)が元プラセボ群よりも53%も高いことである。

日本ではもともとHRTは普及していなかったので大きな問題にはなっていないが,アメリカでは結合型エストロゲン(プレマリン)は何年間か,売上高ナンバーワンの薬だっただけにWHIの「後遺症」はまだ残る可能性があるだろう。

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