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2009年1月20日 (火)

「派遣切り」に対する報道に思う-その2

昨日の続きだが,メディアの報道や政治家・学者・評論家の発言などを聞いていても,結局,今の状況を別の形で「食い物にしよう」と考えているとしか感じられない。よく言われることだが,テレビ局などの正社員の待遇は破格に良い。新聞社なども,毎日新聞や産経新聞などは安月給かもしれないが,朝日や日経,読売などの社員は高給取りのサラリーマンであろう。自分たちは高みで安泰の位置にいながら,会社では非正規雇用の派遣,パートタイマーを安く使い,一方で,トヨタやその他の製造業の派遣切りを正義づらして批判できる感覚が理解できない。

最も問題にすべきなのは,正社員と非正規雇用者との格差だとわたしは思う。しかし,そこに議論を当てると自分たちの利益(給料,待遇)を損なわれるから,非正規雇用者 vs 経営者,という図式にすり替えているのではないか。実際は,非正規雇用者 vs (正社員 + 経営者)というのが多くの会社の構図ではないかと思う。

また最近になってワークシェアリングが話題になり,経団連の御手洗会長がこれに言及したら,正社員の給料引き下げが狙いだ,などという記事が週刊誌に出ていたが,ワークシェアリングをしたら,正社員の給料が減るのは当たり前ではないか。

これについては,経営者の役員報酬をもっと減らしたり,企業の内部留保を減らせば,誰の雇用も切ることなく,給料も減らさずに,非正規雇用者もクビにしなくてもなんとかなるからそれを先にせよ,というような記事も目にした。また,昨日は民主党の枝野議員が内部留保を減らして雇用を確保せよ,経営者としての誇りがないのか,と国会で大演説をぶったらしい。しかし,これも「読者」(週刊誌記事などの場合)や「有権者」(枝野議員の批判)に媚びているとしか思えない。

企業の内部留保を崩せといっても,トヨタや任天堂あたりなら長期間赤字が続いても社員の給料を払い続けることは可能かもしれないが,そういう企業はごくごく一部だ。現実には中小企業にはそんな余裕は全くないし,大企業でもそれほど余裕のあるところは少ないだろう。

また,会社の業績が悪く赤字を続けているのに,雇用調整もせず,正社員や非正規雇用者の給料を維持すれば,株主はだまっていないはずだ。自分が例えばトヨタの株を持っていたとして,社員の給料に全然手をつけず,工場の稼働率がさがっているのに,非正規社員も減らさないで,赤字を出し続けて株式の配当を減らす(あるいは無配にする)などとなったら,株主総会で文句が出てくるに違いない。

それから,日本の経営者を擁護するつもりはないが(わたしがそうする理由もなければ,わたしが擁護したところで一滴の影響もない),客観的事実として,例えばアメリカの倒産寸前のビッグ3や政府や投資家から大量の資金を得ながら今なお莫大な役員報酬やボーナスを受け取っているアメリカの経営者に比べれば,日本の経営者の報酬はかなり低い。

経営者というのは人一倍金銭欲や出世欲が強い人間だ。そういう資質が備わっているからこそ,会社を作ったり,社内で出世してトップに上りつめたのだろう。「派遣切り」という言葉で象徴されるいまの状況にのっかって非難している人たちは,結局,会社や経営者というものに期待し過ぎているのではないか。自分がやりもしないこと(自分の既得権益をあきらめて他人とシェアすること)を他人に求めるのは虫がよすぎるのではないだろうか。

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