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2009年1月21日 (水)

中谷巌氏のいい気な懺悔にうんざり

「派遣切り」に象徴されるような現在の経済状況やそれに対する政治の対応やメディアの報道には自分でもびっくりするほど腹が立っている。政治はもちろんひどいが,それよりも新聞・雑誌,テレビ等の報道やそういったメディアで発言する学者や評論家のほうに問題ありと感じることが多い。

極め付けはUFJ総合研究所理事長の中谷巌氏の懺悔だろう。小泉内閣時代に構造改革の急先鋒だった経済学者の同氏は,『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』などという本で自らが旗を振った構造改革は間違いだったと反省している。また,最近は週刊現代や週刊朝日(1/23号)にも懺悔の記事が出た。

ホントにいい気なもんだと思う。中谷氏の「転向」を好意的に評価する意見を他のブログなどで読んだこともあるが,床屋のオヤジ談義じゃないのだから,そう簡単にあれは間違いでした,とよくも言えたものだ。

例えば,週刊朝日の記事には<私が「改革」に疑念を持ち始めたのは,政治から距離を置くようになったここ7,8年のことです。社会のできごとを見ているうちに「日本はおかしくなっているのではないか」という気持ちがだんだん強くなってきたのです。>とある。

ここ7,8年,「日本はおかしくなっているのではないか」だと?そんなこと,普通に仕事をして,新聞を読み,真剣に生きている人ならなら誰だって気づいていることだ。

(書き始めると気持ちが高ぶってきて止まらなくなりそうなので短めに終わるよう努力します)。

大経済学者である中谷氏に理論的に反論するだけの知識も準備もわたしにはないが,同氏の懺悔に「お気楽でいいね」と言いたくなるのは,「転向」に至るまでに氏自身が全く苦悩していないと感じられるからだ。構造改革を煽るだけ煽っていながら,「あれは間違いでした,反省しています」,でどうしてケロってしていられるのだろう。本当にそう感じるなら,私財を全部売却して寄付でもして,頭を丸めて寺にでも籠もればいいものを,また雑誌に出て懺悔記事を書いてもらったり本を出したりしている。

週刊朝日の記事の最後の部分の見出しは,<消費税20%でも貧困層救う秘策>とあり,中谷氏は<「希望なき貧困大国」から脱するためには,基礎年金を税方式にし,現状で保険料を納められない人にも老後の最低限の生活を保障すべきです。その財源は消費税で,私は20%にすべきと考えています。  これでは「大増税だ」と反発を受けるでしょうが,一方で,例えば年収1千万円以下の人に毎年40万円を還付するのです。そうすると,年間消費200万円の人は,消費税が差し引きゼロとなります。100万円の人なら20万円戻ってくる。これで貧困層を救済する。そうすれば,日本は少しは温かみのある社会になるでしょう。>

などと言っている。2011年度の消費税率引き上げを税制抜本改革の「中期プログラム」原案に明記するかどうかだけでもてんやわんやの大騒ぎになっている日本の政治状況のなかで,いったいどうやって消費税率20%を実現させるというのか。それを具現化する方法でもあるというのか。あるなら,自分が政治家になってやっていただきたい。「懺悔」しながら自分が積極的に関与するつもりもない提言を性懲りも無く週刊誌に載せるとはどういう神経なんだと思う。

なにが「そうすれば,日本は少しは温かみのある社会になるでしょう」だ。こんな無責任なお気楽発言を発行部数の多い週刊誌が取り上げて記事にしてくれる日本は,少なくとも中谷氏にとってはすでに「十分温かみのある社会」じゃないか。

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