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2009年5月

2009年5月29日 (金)

体外受精のプロセスがよくわかるビデオ- Cook Medicalが提供

アメリカの Cook Medicalという会社が生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)(体外受精-胚移植[IVF-ET],顕微授精[ICSI], 凍結[cryopreservation]胚移植体外受精など,高度生殖医療技術の総称)のプロセスを説明した教育ビデオ(CookARTLab)をWeb上に公開した。なかなかよくできたビデオで不妊治療に関心のある人にとっては必見かもしれない。もっとも,民間の会社のサイトなので,途中で少し宣伝くさい説明はあるが,ICSIのプロセス全体を映像で見られるので,不妊治療をこれから始めようかという人には役に立つと思う。ただ,残念ながらアメリカのサイトなのですべて英語である。映像の下のバーに出てくる文字だけ簡単に日本語にしておく。

【-Day 1】
Introduction(はじめに)
Media Set-up & Preparation (培養液の準備)

【Day 0】
Ovum Collection Preparetion (採卵の準備)
Ovum Collection (採卵)
Ovum collection needle (採卵針について)
Oocyte Cryopreservation (卵母細胞の冷凍保存)
Cumulus-Oocyte Complex (卵丘・卵母細胞複合体)
Sperm Preparation (精液洗浄)
ICSI Preparation (ICSIの準備; ICSIは intracytoplasmic sperm injectionの略語で,顕微授精と同義に使われているが,正しくは,卵細胞質内精子注入法)
ICSI Procedure(ICSI実施)
Insemination(授精; このパートは,顕微授精ではなく,初期の体外受精で,シャーレの中で授精[insemination]させ,受精[fertilization]させる方法を説明している。ビデオではClassical IVFと言っている)

【Day 1】 Pronuclei Observation (前核の出現を確認)

【DAY 2-5】
Embryo Observation(胚の確認)
Embryo Transfer Catheters (胚移植に用いる器具[カテーテル]の説明)
Embryo Transfer (胚移植)
Embryo & Blastocyst Cryopreservation(胚と胚盤胞の冷凍保存)
Conclusion (終わりに)

2009年5月22日 (金)

徒然なるままに......。1)インフルエンザ-収束か第2波か? 2)胸膜炎-ああ胸が痛い 3)鴻池の記事で週刊新潮を再評価 4)food for thoughtがいっぱいのインフル騒ぎ

徒然なるままに,などと書いたが,徒然(つれづれ)を国語辞典でひくと「するべきことがなくて所在ないさま。退屈。無聊」とある。退屈は退屈だが,するべきことがなくて,というのは必ずしも当てはまらない(例によって仕上げなければいけない原稿が全然進んでいない。ここ2か月ほど,こういうことが続いていてよろしくない)。逃避的読書とか逃避的アマゾンショッピングについては何度か書いたが,最近は,逃避的ブログエントリー(気晴らしブログ)の度合いが強くなってきた。困ったものだ。

①インフルエンザ-収束か第2波か? わたし自身は,幸か不幸か,5月,6月の海外学会の取材仕事が今年は入らなかったので,新型インフルエンザを理由に大学や企業が海外(学会)への渡航を自粛するというニュースを読んでも「そんなの関係ねえ!」と他人ごとのように受け止めていたが,ここへ来て,神戸・大阪での感染者急増にともない,仕事が2つもキャンセルになってしまった。2つとも,今週と来週に神戸で開催予定だった国内学会にからむ仕事で,いよいよ自分の身(仕事)にも影響が出てきたか,という感じだ。

新型インフルエンザに対する対応についてはすでにいろいろと批判や疑問,異論がでてきているが,京都大学保健管理センターのこの緊急情報(第2報)は,ちょっとタブー的な,しかし,多くの人の本音に触れることが書かれていて興味深い。その部分をコピペすると,

「このインフルエンザに効くワクチンは当分ありません。発症してしまった人はちょっと辛いのですが、これで免疫を獲得して今後同じタイプのインフルエンザにはかかりにくくなることが期待できますし、公衆衛生的観点からは集団免疫の成立にも貢献することになります。賢く行動してやり過ごしましょう。」

実際,京都大学は休講せず,通常通り授業を行っているらしい。この緊急情報については2ちゃんねるでもスレがたっていて,おもしろい。2ちゃんねるなど,これまであまりアクセスすることはなかったが,新型インフルエンザ以降,膨大な数のスレができているのでついつい覗いている。2ちゃんねる用語(?)に精通していないのでよくわからないことも少なくないが,この巨大掲示板のボリュームには圧倒されている。

新型インフルエンザについては,これから梅雨に入るのでもう収束に向うだろうという楽観的な意見と,秋以降の第2波を恐れるべき,という考えの両方を見聞きするが,本当のところはどうなのか。いわゆる専門家といわれる人でも自信を持って予測できる人はいないのだろう。

②胸膜炎-ああ胸が痛い ゴールデンウィーク明けから左胸に痛みを感じるようになり,それほど心配はしていなかったのだが,寝起きする程度でも差し込むような痛みが走り,日常生活にも支障をきたしそうだったので,先週の土曜日,久しぶりに医者(病院)に行った。会社員をやめ国民健康保険に代わってから保険証を使うのはこれが2回目だ。胸のX線撮影をして,肺がんや結核は完全に除外され,消去法で「胸膜炎」の可能性あり,と診断(?)された。鎮痛薬(ロキソニンともう1つなにか)と(炎症の原因はわからないが細菌性の場合のために)として抗菌薬(ニューキノロン系の薬だったと思う)を処方された。すでに5日分を飲みきり,まだ痛みは残るが,軽くはなってきている。薬を飲まなくてもたぶん自然に治るものだったのだと思う。X線撮影で大動脈にゆがみがあり,動脈硬化がかなり進行しているかもしれない,と言われたことがむしろショックだった。すぐにどうなるということでもないだろうが.....。

③鴻池の記事で週刊新潮を再評価 先週号の週刊新潮に鴻池(前)副官房長官が愛人と熱海にゴルフ&温泉旅行に出かけた記事(および写真)が掲載され,鴻池氏はすぐに副官房長官辞任となった。この記事はわたしも(雑誌を買って)読んだが,週刊誌らしい(?)記事で評価したい。記事のかなりの部分を鴻池(前)副官房長官の発言の引用で埋めており,鴻池氏のマヌケさがうまく表されていた。以前どこかで,週刊新潮を「サラリーマンの2ちゃんねる」(「おじさんの2ちゃんねる」だったかもしれない)というような言葉で喩えているのを読んだことがあるが,わたしが週刊誌に期待するのはこういう記事だ。

④Food for thoughtがいっぱいの新型インフルエンザ騒ぎ 英語にfood for thoughtという言葉ある。An idea or issue to ponder(思考の糧,考えるべきこと,考えさせられること)というほどの意味だが,今回の新型インフルエンザ騒ぎは,いろんな角度からのfood for thoughtに満ち溢れている気がする。日本の医療,政治,行政,危機を予測し対処する日本および日本人の能力,etc......。

新型インフルエンザがこれほどの大問題になっている本質的な理由の1つは「未知」ということだろう。「未知」であり「未経験」。だから,心配しようと思えばいくらでも心配できる。それと,マスコミに取上げられることに対する恐怖心。海外渡航や出張,イベントの中止をする人の多くは,新型インフルエンザに感染することそのことよりも,自分の会社(学校,団体,自治体)や自分(自分の家族)が最初(あるいは初期の)感染者となり,マスコミで報道されることのほうにより恐怖を抱いているのではないだろうか。(もちろん感染となれば何日も病院やホテルに隔離され,仕事や生活に支障をきたすという実害もあるが)。

また,唐突だが,evidence-based medicineというものの脆さ,胡散臭さ(あえて胡散臭さという乱暴な言葉を使うが),あるいは課題,も今回出てきているのではないだろうか。役に立たなさと言ってもいいかもしれない(こんなことを書くとドクターに怒られそうだが)。

しかし,例えば,マスクの有効性について新聞やネットで「専門家」といわれる人がいろいろ発言しているが,その多くが個人的見解に過ぎないのではないか。うがいについてはどうだろうか。米国のガイドラインなどでは手洗いは薦めているが,うがいは記載すらないという。ようするにエビデンスがないわけだ。

あるいは,タミフルについて,若い人(10代)に処方すると自殺企図や異常行動などの副作用が多いと一時問題になったが,あれについては一体どういう答が出ているのだろうか。(もっとも,今回一番患者が多いのは高校生で,そのくらいの年齢になると異常行動の問題を心配する年齢でないのかもしれない)。

では,妊婦に対するタミフル投与はどうか。昨日だったか,テレビを観ていたら,神戸のある産科での医師と妊婦さんのやりとりが流れていたが,タミフルは妊娠中に服用しても安全です,とはっきり言っていた。しかし,「今日の治療薬」をみると,妊婦(胎児)への危険度表示でタミフルはFDA基準のカテゴリーC(動物生殖試験では有害作用があることが証明されている。ヒトでの対照試験は実施されていない。潜在的な利益が胎児への潜在的危険性より大きい場合にのみ使用すること)なっている。しかし,私が見たテレビの放送では,安全です,と断定しているような印象を受けた(ほとんどの視聴者もあれを見ればそう解釈するはずだ)。

うだうだと何を書いているのだろうか。平時にはエビデンスがあるとかないとか,ワイワイ議論している「専門家」や「ドクター」が,今回程度の新型インフルエンザ騒ぎに対してさえ,かなり乱暴というか,荒っぽい発言や行動をとっているような気がするのだ。

それは,仕方がないことであるのか,あるいは,仕方がないことではなく,今回のことを教訓にして改善していくべきなのか。そして,一般の国民はどういう対応をとるべきなのか。マスコミはどういう報道をするのが望ましいのか。

Food for thoughtはいっぱいあるが,ああ,そんなことよりも,わたしは胸が痛くて仕事が進まない(言い訳)。

2009年5月18日 (月)

ちょっと期待はずれだった「侍戦隊シンケンジャーショー」

ゴールデンウィーク最終日の5月6日,東京ドームシティのシアターGロッソに侍戦隊シンケンジャーショー(第1弾)を観に行っ た。これまでの野外シアターが閉鎖になり,新たに屋内にできた「本格的な」劇場だ。昨年のクリスマス,子どもにせがまれて観にいった炎人戦隊ゴオーンジャーショーが予想外におもしろかったことは以前に書いた

今年から始まった侍戦隊シンケンジャーは,火(シンケンレッド),水(シンケンブルー),木(シンケングリーン),土(シンケンイエロー),天(シンケンピンク)(イエローとピンクは女性),という5つのモジカラ(文字力)を受け継いだ5人の侍がこの世の支配を企む「外道衆」という怪物たちと戦うという話だ。5人の面はそれぞれの文字になっている。

ゴオーンジャーのときもそうだったが,オヤジギャクのようなダジャレ的ネーミングも多い。モジカラもそうだが,シンケンジャーが使う携帯電話はショドーフォン(書道フォン)と呼ばれ,携帯電話がそのまま書道の筆になり,各シンケンジャーの必殺技(?)を出すまえに,書道フォンを筆モードにして,各人が受け継いだ文字を書く。オリガミ(折神)というのも,折紙と折神をかけているのだろう。実にくだらないが,なぜかおもしろい。

というわけで,大人げないと知りつつも,密かに子ども以上に楽しみにしながら行ったのだが,正直,ちょっとがっかりした。さすがにこのまえのウルトラマンショーほどはひどくなかったが,屋内だとやはり開放感がなく,どうも動きが悪い。外道衆など,怪物は非常にリアルでよかったのだが,ショーの間中,ずーと暗い状態だったので,小さい子どものなかには怖がって本当に泣いている子たちもいた。子どものショーであの暗さはどうもいただけない。少なくとも,昼間のように明るい場面をもっと作るべきだろう。

ロープを使ったシンケンイエローとシンケンピンクが空中で交差するシーン(テレビのCMで放映されているやつ)は悪くないが,同じ動きが数回あるのであきてしまう。ロープの動きにもっとバリエーションを持たせられないものか。

また,テレビでは伊吹吾郎が扮する爺(じい)をなぜかネコが演じている。ネコが「殿!」とシンケンレッドに言っているのはどうも奇妙に感じた。伊吹吾郎が出演できないのは当然としても,誰か別の役者を普通に人間として使えばいいのに。そのくせ,テレビでは出ていない(たぶん),レッドの幼馴染(あるいは妹だったか)のような姫役の女性がいて,彼女は人間のまま(つまり,面も縫いぐるみもかぶらず)に出ている。

いちばん気に入らなかったのは,シンケンオー(5体の折神がサムライ合体して侍巨神になる)の場面をステージのバックに映像を流すだけで終わらせていたことだ。映像の映りも悪いし,舞台でのショーとまったく“合体”していなかった。あの場面は手抜きもいいところで,あんな場面を入れるくらいなら,ゴオーンジャーショーのときに使った安普請のスピードルのようなものでもいいから,シンケンオーのおもちゃを何故作らなかったのかと思う。まったく手抜きだ。

ゴールデンウィーク中で1日3回公演しなければいけなかったからか,握手会と撮影会がなかったが,これはまあ仕方ない。しかし,ショーの前にいつもの(?)お姉さんが出てきて会場の子どもたちと話をすることもなく,もの足りなかった。

立派なシアターを作って,チケットもネットでとれるようになったのに,どうにも中途半端な気がした。(そう書きながら,7月以降,第2弾が始まればまた子どもを連れて行ってしまいそうな気がしている)。

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2009年5月 5日 (火)

あきれた日本の病院-これが本当ならああイヤだ-発熱患者の受診拒否

新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)についてはもう書く気はしなくなっているのだが,日経のサイトを見ていたら,こんなニュースがアップされていた。このニュースだけでは詳しいことはわからないが,日本の病院・医療はこんな程度なのかとかなりゲンナリした。リンクはいずれはずれるので,下に記事の全文をコピペしておく。

<発熱患者の受診拒否、東京都内で92件に  新型インフルエンザの感染者が出た国に最近渡航していないなど、感染している可能性が低いにもかかわらず、発熱などを訴えた人の診察を拒否するケースが東京都内の病院で相次ぎ、2日朝から5日正午までに計92件にのぼることが、都の調べで分かった。過剰ともいえる病院側の対応について、都感染症対策課は「病院は冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。

 同課によると、診察拒否は、都が設置した発熱相談センターへの相談電話で判明。大学病院が断ったケースもあった。

 感染国への渡航歴がないのに発熱相談センターに相談することを勧められたという人が大半だが、同センターから一般病院での受診を勧められたのに診察を拒否されたケースもあった。中には「成田空港に勤務している」「友人に外国人がいる」と話したことで拒否された人もいたという。>

一般の人が冷静さを欠いて非合理な行動を取るのはまだしも,病院でこういう状況とは一体どういうことなんだろうか。こういうのこそ「医療崩壊」の兆しじゃないのだろうか。まあ,個々の状況や「受診拒否」というのが実際は他の病院への紹介ということなのかもしれないが,目の前に熱のある患者がいて,何も手当てしないで帰したとしたら,これはやはり受診拒否だろう。

2009年5月 4日 (月)

長時間並ぶほどでもない「モンスターズ・インク ライド&ゴーシーク!」

4/28に家族を連れて東京ディズニーランドへ行ったが,新しいアトラクションとして人気を集めているモンスターズ・インク ライド&ゴーシークは,わざわざ長時間並んでまで入るほどのアトラクションではなかった。わたしたちは開演と同時にFP(ファーストパス)を取ったが,FPを取るためだけに1時間近くかかってしまった。スタンバイなら2時間以上待ち。しかも,開演後1時間でそういう状況だった。ゲートオープンと同時に走って行く人も大勢いてあっけにとられてしまった。

まあ,もうディズニーランドのことをあれこれ書く年齢でもないし,どのアトラクションも変わりばえしないという気がしたが,むしろ人気のない空いているアトラクションや乗り物をどんどん回り,偶然,FPを発券しているところに遭遇したら券を取っておく。そんなやり方が一番賢いような気がした。

今回嬉しかったのは,上の息子がすべてのライド,アトラクションに乗れるようになっていたことだ。スペースマウンテンに乗せたときはちょっと心配したが,息子より自分のほうが疲れてしまった。

わたしたちが行った28日はカレンダー上では平日だったのでまだそれほど混んでいなかったが,4/29日以降はすごい混みようなんだろうなと思う。

帰省中に仕上げなければと思っていた原稿が全然進まないので毎日,ブログ書きに逃げこんでしまっている。逃避的アマゾンショッピングも始まり,すぐに必要でない本を6冊注文してしまった。そろそろ本気でbacklogを片付けないと大変なことになりそうだ。

2009年5月 3日 (日)

どうにも異様な日本(人)の対応-豚インフルエンザ-本気で心配してんのか?

めずらしく毎日更新しているのでよほど新型インフルエンザA型に興味があるのかと思われそうだが,本当のところはゴールデンウィークに1人で実家に帰省して,年老いた両親との会話も続かず,なによりも,やり残している原稿(日本眼科学会の取材原稿)が全然進まないので,その時間つぶしにブログを書いているだけだ。

昨日,テレビで見た関西空港での出国の様子は異様に感じた。そこで,異様という言葉でググッてみたところ,産経関西版のこんな記事を見つけた

この記事では入国の際の検疫体制のものものしさを異様としてレポートしているが,わたしが異様だと感じたのは,マスクをしてまで遊びに海外に出国する人たちの光景と入国の際のものものしい検疫とのアンバランスなコントラストだ(コントラストにアンバランスという修飾語はおかしいかもしれないが)。

本当に新型インフルエンザA型への感染を心配しているのなら,仕事とか緊急事態で必要もないのに,マスクまでして海外旅行に行くのは(いくらゴールデンウィークで楽しみにしていたとはいえ)ちょっとヘンじゃないかと思うし,日本国(政府)も本当に海外からの感染を水際で防ぐ気ならば,ゴールデンウィーク中の海外渡航は,特別な理由がない限り禁止するくらいのことをしたらいいんじゃないだろうか。

本音のところは,このゴールデンウィーク中に遊びで海外に出国した(する)人は,自分や自分の家族が感染するとは(さらにその結果,日本国内に新型インフルエンザA型の感染を広めるとは)心配していないのだろう。もし,本気で心配しているのなら行かないはずだし,反対に本音ではまさか自分が感染するはずなないと思っているのなら,マスクは一体なんのためなんだということになる。(マスクをして飛行機に乗れば感染が防げるというのはその通りかもしれないが,本当に感染するリスクが高いのは現地に行ってからじゃないのか。旅行に行って,旅先でずーっとマスクをし続けるのだろうか。そんな海外旅行をして楽しいだろうか。マスクは車に乗るときのシートベルトのような感覚なのだろうか。しかし,シートベルトは事故にあったときの怪我の軽減目的だが,マスクは事故にあう[=インフルエンザに感染する]かどうかの二者択一であり,感染を強力に防ぐには旅先でもずーとつけていなければならないはずだ)。

一昨日のエントリーでも書いたが,わたしもこのゴールデンウィーク中に海外への家族旅行を計画していたとしたら,さすがにメキシコ方面だったらキャンセルしたと思うが,北米やヨーロッパ,アジア方面なら強行していたかもしれない。だから,今回,ゴールデンウィークで海外旅行に行く人をバカにしたり笑ったりしているわけではない。ただ,気楽な傍観者としての感想を述べると,やはり異様な光景だと思った。

このゴールデンウィーク期間中の成田空港からの出国者予測数は約49万人だそうだ。これに関空や地方都市からの出国を合わせると何人くらいになるのだろうか。成田が圧倒的に多いから,日本全国の空港あわせてもせいぜい75万人じゃないだろうか。一人あたりの旅行費用も渡航先や滞在日数によっていろいろだが,飛行機 + ホテル代( = ツアー代として旅行社などに支払った金額)で一人平均20万円と見積もればそれほど的外れではないんじゃないか。

何がいいたいかというと,政府がゴールデンウィーク中の遊びの海外渡航のキャンセルを「強制」し,その費用を肩代わりしても,(平均)20万円 X 75万人 = 1500億円だ。何を基準に比較するかにもよるが,もしインフルエンザの国内大流行がこれで防げるのであれば,めちゃくちゃ安い額ではないのか。

まあ,今回のようなタイミングでこのようなことを急に実施するのは不可能なことはわかっているが,今後のことを考えれば,水際対策ばかりにエネルギーと資源(ヒト,金)を使うのではなく,感染リスクのある海外への渡航を限りなく減らすことを考えたほうがいいのではないだろうか。

とにかく,マスクをしたものものしい格好で多くの人がゴールデンウィークの遊びに出かけるあの光景は「冷静に考えれば」異常だと思う。

あと1か月もすれば今回の“騒動”が大げさなものだった( = 国内での新型感染者数がそれほど多くない)か,あるいは,本当に大流行が発生する(した)か,答えは出ているだろう。

昨日も引用したが,「正当に怖がることはなかなかむつかしい」というのは蓋し名言だ。

2009年5月 2日 (土)

豚インフルエンザ-インフルエンザA型-「正しく怖がる」怖がり方とはどのようなものか

今日(5月2日)付けの毎日新聞,4ページの発信箱というコラムで,科学環境部の元村 有希子さんが,「正しく怖がる」という文章を載せている。なかなか素晴らしいコラムで感心した。

<「ものを怖がらな過ぎたり,怖がり過ぎたりするのはやさしいが,正当に怖がることはなかなかむつかしい」と書いたのは地球物理学者の寺田寅彦(「小爆発二件」)。このことは新型インフルエンザにぴたり当てはまる。>という冒頭の書き出しが非常にうまい。

さきほど夕方のニュースをテレビで見ていたら,今日がゴールデンウィークを海外で過ごす人の出国ラッシュのピークだというニュースが流れていた。関西空港でマスクをしながら出国審査に並ぶ人の列を見て,これは「正しい怖がり方」なのかなあといぶかしく思った。

その後,成田に到着した飛行機内で行われる機内検疫の様子を写したビデオ(ここ1~2日に乗客が撮影したものらしい)を放映していたが,ただでさえ疲れる飛行機の長旅をあんな目にあってまでしたくないと感じた。

そもそも,インフルエンザの潜伏期間は10日くらいのはずで,ゴールデンウィークで海外に行く人は渡航期間が1週間前後の人がほとんどだろうから,帰国時点での検疫はあまり意味がないはずだ。

そう思ってテレビを見続けていたら,SARS騒ぎのときに香川県に旅行した台湾人医師のエピソードが続けて放送された。この医師はSARSに感染していたが,成田到着時点では潜伏期間中で発症しておらず,台湾に帰国後発症が判明し,その医師が宿泊していた香川県のホテルや従業員が営業停止や外出禁止を強いられ,たいへんな目にあったという話だ。

そう考えると,今回はゴールデンウィークを海外で過ごす日本人が多いことから,帰国後数日~10数日(5月10日~20日)くらいの間に新型インフルエンザの患者が結構な数,出てくるのではないか。ゴールデンウィーク明けの2週間くらいこそ,しっかりマスクをして,あまり外出しないほうがいいんじゃないだろうか。

毎日新聞のコラムに話を戻すと,そのなかで元村さんは<この50年で診断技術は格段に進歩し,栄養状態も向上した。万一感染しても,タミフルなどの治療薬がある。>と書いているが,タミフルはそれほどの万能薬なのか。今回のインフルエンザが現時点で言われている「弱毒性」であるならば,タミフルがあってもなくても,安静にしていれば(栄養補給や安静・睡眠に注意していれば)数日で治るはずだし(タミフルやリレンザは発症後早期に服用しなければそのベネフィットは少ない)し,なによりもこれらの薬はノイラミニダーゼという,インフルエンザウイルスの増殖過程に必要な酵素を阻害するだけであり,ウイルスそのものを死滅させる薬ではないはず。

逆に,ヒトヒト感染が拡大した結果,現時点で弱毒性と言われている新型インフルエンザAが「強毒性」に変化したならば,タミフルやリレンザがあっても(ないよりはましだろうが),重症化する患者は相当多くなるのではないだろうか。

上記のコラムではまた<何より私たちは「情報」という武器を持っている。どこで何か起きても,その情報を専門家がすぐに共有し,ネットや電話会議で戦略を練る。(中略)今や世界が一つの人体のようなものだ。そこに侵入した未知のウイルスに対してできるのは,用心深く,冷静に向き合うことだ。難しいけれど,それに尽きる。>と結んでいる。

(中略)以降,それに尽きる,まではその通りだし,異論はないのだが,私たちが持っているという「『情報』という武器」が,「用心深く,冷静に向き合う」というわれわれの態度にどういう影響を及ぼしているのか,そのところの判断が書かれていない。

わたしの感想では,ネットやテレビ,新聞等から「『情報』という武器」が大量に流されているのはその通りだが,その武器の評価の仕方や使い方までマスターしている人は少ない。むしろ情報に過剰反応して無駄な動きをする場合が多いのではないか。だから情報は必要ない,などと言うつもりはもちろんないが,各人が置かれている状況はそれぞれ違うのだから,情報は情報として参考にしながらも,結局,各人で判断して行動する,それがもっとも大切なのではないだろうか。

狂牛病騒ぎのときもそうだったが,どうも誰も彼もが実際のリスクや自分が置かれている状況などを判断せず,同じ行動を取ってしまう。こういう騒ぎがあるたびに,なんだかなあ,もうちょっと冷静に考えようよ,といいたくなっていまう(最後は結局,昨日と同じような結びになってしまいました)。

2009年5月 1日 (金)

豚インフルエンザ-よくわからん大騒ぎ

豚インフルエンザ(豚インフル)がパンデミック(世界的大流行)になるかもしれないということで、ここ数日、ものすごい騒ぎになっているが、どうもよくわからない。現時点では、感染性は高い(インフルエンザそのものが感染力の高いウイルスである)が、病原性は低い(ただし、ヒトヒト感染が拡がると病原性が高くなってくる可能性もある)というのが専門家の意見のようだ。

実は今朝、帰省のため飛行機で実家のある都市までやってきたが(いまは実家の手前のネットカフェでやり残しの仕事をし始めたところ)、機内でやたらと咳が出て、両隣に座っている人に非常に嫌な顔をされた。わたしが最後に海外に出たのは昨年の11月(アメリカ)だから、メキシコの豚インフルは関係ないぞ、と言ってやりたくなった。

そもそも、新型インフルエンザは鳥インフルエンザの変異によるものが最もリスクの高いものとして喧伝されてきたのではなかったか。そう思って、ちょっとPubMedなどを検索したところ、豚や鶏の農場で働く人に対する予防措置をすべきという論文もあることはあった(Clini Pharmacol Ther.  2007 Dec;82(6):638-41)

しかし、どの雑誌だったか新聞だったか忘れたが、「まさか豚インフルエンザとは!!」というような見出しを目にした記憶もあり、やはり、豚インフルが新型インフルエンザのきっかけになると本気で考え、警告していた人は少ないのではないか。

ネットのニュースを見ていたら、米国副大統領が豚インフルエンザに関して「行き過ぎ発言」をして、その火消しにやっきになっているという記事が目にとまった。この見出しをみてわたしは最初、バイデン副大統領が「豚インフルエンザに関して騒ぎすぎだ」と発言して批判を受けたのだと思ってしまった。自分が騒ぎすぎだと感じているからこそこのように受け止めてしまったのだろうが、副大統領は、(飛行機や地下鉄のような)閉じ込められた空間に(長時間)いるのは避けたい、という趣旨の発言をしたそうで、そのことが「行き過ぎ発言」と批判されたらしい。

何年か前のSARS騒ぎのときもわたしは海外出張に行っていたし、飛行機内でマスクもつけなかった(長時間のフライト中、ずっとマスクをつけている人もいたが)が、それでももちろん罹患しなかった。「注意しても注意しなくてもうつるときはうつる」などと乱暴なことを言うつもりはないが、一番大切な手洗いとうがいの励行、そして、普通の健康管理(栄養、睡眠)をきちんとしていれば、それほど大騒ぎするほどのことでもないんじゃないかという気がしないでもない。(昨日、ノースウェスト機でロスから到着した日本人女性も、すわ新型インフルエンザか、と騒がれたが、結局、A香港型と判明したらしい。もう一人、カナダから戻った高校生の疑い例が出てこちらは現時点ではまだ結論は出ていない)。

こんなことをつらつら考えながら、仕事をさぼる口実にネットで遊んでいたら、WHOが今回の新型インフルエンザの呼称を、食肉産業に及ぼす影響を考慮して、豚インフルエンザから、インフルエンザA型(H1N1)に変更すると4月30日に発表したという記事が目についた。

調理した豚肉を食べてもインフルエンザに感染しないことははっきりしているのだから、そちらの啓蒙に努めればいいのにと思った。むしろ、教訓を残すためにも、豚インフルエンザのママのほうがいいんじゃないかという気がするのだが........。なんだか、日本のO157のときのカイワレ問題が思い出された。

ゴールデンウィークで海外旅行を計画していた人にとって今回の豚インフル騒動は悩ましいところだろうとは思う。中米への旅行ならわたしもキャンセルしていたかもしれない。北米(米国・カナダ)は現時点では迷うところだろう。仕事で必要な場合はともかく、わざわざこの時期のそういう地域に遊びに行く必要もないだろう、という感情は理解できなくはない。しかし、これも冷静に考えると、それほどリスクが高いとも思えないが.....。

とにかく、「もう少し冷静になろうよ」って言いたい気持ちだ。こういう“騒ぎ”がおきると、テレビのニュースキャスターやコメンテイターが生き生きしている気がしてどうにもいやな感じを受ける。

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