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2009年6月

2009年6月10日 (水)

また統計学の本-医学統計シンプルスタイル

以前,素晴らしい医学統計の本を見つけました,というエントリーで,「ドキドキワクワク論文☆吟味。医学統計ライブスタイル 」という本を紹介したが,その姉妹本を読んでみた。

世界一わかりやすい。医学統計シンプルスタイル (落合 隆志 著,SCICUS,2800円[税別])という本で,実はこの本のほうが先に出版されている。落合 隆志氏は,この本の出版元であるSCICUS(サイカス)の社長だ。

確かに,数式を全く使わずに,医学統計の基本的な考えかたを平易に解説してくれており,優れた本だとは思うが,「ドキドキワクワク論文☆吟味。医学統計ライブスタイル 」を読んだときほどの感激はなかった。

それぐらいは知ってるよ,といいたい気がして,2800円 + 消費税はちょっと高いなという感想を持った。,「ドキドキワクワク論文☆吟味。医学統計ライブスタイル 」は間違いなくオススメだが,「世界一わかりやすい。医学統計シンプルスタイル」のほうは,書店で中味を確認して,納得してから購入されたほうがいいかもしれない。ただ,入門的な知識の獲得や確認・整理にはいい本だと思う。

2009年6月 9日 (火)

カウンターを表示しました

アクセス数がやっと1万に近づいてきたので,カウンターを表示してみた。ついでに,パーツの並べ方も変えてみた。まだ,いろいろな設定の仕方やレイアウト・デザインの変更方法など,わからないことが多いのだが,まあ,気が向いたら少しずついじっていこうと思っている。

2009年6月 5日 (金)

学会取材-日本腎臓学会-山中先生の特別講演

6月3日から横浜で開かれている日本腎臓学会に取材に行ってきた。速報の仕事だったので、仕事以外のセッションを聴講する時間がとれなかったが、最終日の今日、京大の山中伸弥先生(京都大学再生医科学研究所 再生統御学研究部門再生誘導研究分野)の特別講演「iPS細胞の可能性と課題」だけは聞くことができた。

今やひっぱりだこの山中先生の講演とあって、大会場はほぼ満席。正直、あまり期待していなかったのだが、予想に反して非常に面白かった。山中先生のスピーチの上手さにびっくりした。ところどころ、抑制の効いたユーモアあふれるエピソードを挿入し、1時間の講演が全然長く感じられなかった。

iPS細胞が大きな話題になったここ1~2年、テレビなどでも時々拝見していたが、その謦咳に接するのは今回が初めてだった。腎臓(病)に関する最近の研究(山中先生自身の研究ではなく、先生の研究所に参加されている腎臓専門医の先生の研究)を紹介した最後の15分くらいを除けば、iPSに関する新しい情報は特になく、話のレベルも簡単なものだったが、それゆえに、わたしには非常に理解しやすく、また、ためになった。

講演の冒頭、ES細胞研究が解禁になった最近のアメリカの状況を紹介。Geron社よるオリゴデンドロサイト(oligodendroglial)の臨床試験(脊髄損傷患者が対象)をFDAが初めて承認したアメリカの、ES細胞やiPS細胞研究にかける「本気度」を何度も強調されていた。

実は、山中先生のこういった発言は新聞やテレビで何度か目にしたことがあり、どちらかというとわたしは好意的に受け入れていなかった。日本の研究者にとっては、重大なことかもしれないが、一般の日本人(国民)としては、研究がアメリカで進もうと、日本で進もうと、関係ないという気がしているからだ。もちろん、特許の問題や国力の問題、国の医学(科学)研究レベルの維持など、大切なことはわかるが、直接的には利害関係者間の競争でしかないと思っていたからだ。

そういう感想はいまも持っているが、山中先生の今日の講演はいたずらに「アメリカに負けないよう日本ももっと頑張らねば」と自分が先頭に立っていることを過剰に意識して(先頭に立っているのはそのとおりだが)ほかの人を叱咤激励するという感じではなく、冷静に現在の状況を見て、発言されているという印象を持った。

山中先生は神戸大学の出身で、臨床医として整形外科などの研修も経験されている。自分は山中だが、いつも「じゃまなか」と言われている手術のあまりうまくない研修医だったが、そのころ先輩に言われた「ゴチャゴチャ言うよりも手を動かせ」という助言が、その後のiPS研究において役にたったという話は大切なポイントだと思った。

もし、頭であれこれ考えていたら、とても、体細胞からiPS細胞への樹立に必要な転写因子を見つけだそうというような試みはしなかっただろうという。(山中先生は最終的に、Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc、の4つでiPS細胞への変化が起きることを突き止めた)(このあたり、記憶だけにたよって書いているので間違っているかもしれません。また、その後の研究で、いまでは、ほかの転写因子や、もっと少ない因子でiPS細胞ができることが発表されている)。この話など、“職人”が仕事のコツを教えるような内容だと思った。

iPS細胞の臨床応用(再生医療)への可能性は大きいが、実現しても、非常に手間のかかる方法であるため、費用面、医療資源の面から実現はなかなか難しいかもしれない。その問題を解決するための手段として、いま、京大で進められているのが「iPSバンク構想」だという。なんでも、HLAの3座がホモのボランティアを50名集め、それらの人の細胞からiPS細胞を作ることができれば、理論上は、日本人の90%に応用可能なiPS細胞が作れるという。この試みがどれほど大変なことなのか、その大変さの度合いはわたしには実感できないが、その構想のめざすところは理解できる。

iPS細胞の応用として、もうひとつ期待されているのが、さまざまな疾患(病態)モデルの作成や薬剤などに対する疾患感受性の事前検討だ。疾患モデル動物が作れない(作りにくい)疾患であっても、その患者から皮膚の細胞をもらってiPS細胞を作れば、その疾患のモデル細胞を作ることができる。脊髄性筋萎縮症(SMA)や筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、やはりアメリカだが、すでに患者の細胞からiPS細胞を樹立した報告があるという。

ヒトの受精卵の破壊を伴うヒトES細胞と比べたiPS細胞の利点は、倫理的な問題が少ないことや、(自分の細胞を使うので)拒絶の問題がないことだが(HLA 3座がホモの人からのiPS細胞のバンクで日本人の90%をカバーできるという上記の文は、本人の体細胞からのiPS細胞ではなく、他人のiPSをバンクとして保存する場合に、拒絶の問題に対処するための方策だと思う)、コストや手間の問題は残る。

しかし、それ以上にやはり安全性の問題はまだまだ検討すべき課題で、この点も山中先生は何度も強調されていた。確かに、素人考えでも、分化した体細胞をiPS細胞(無限増殖能を持つ細胞)に変化させてしまえば、その一部がガン細胞のようにならないかという疑問くらいは持つ。転写因子を導入する際にレトロウイルスを使うことによる安全性への危惧もあるが、この点は、最近すでに、ウイルスを使わないでiPS細胞を作る方法が、どこかで発表されていたはずだ(山中先生はこの点については触れられなかった)。

iPS細胞やES細胞の研究について、少しきちんと勉強しようかな、という気にさせてくれた発表だった。

(ほとんど記憶だけにたよって、速攻で書いたので、誤字脱字、記憶違いもたくさんあると思います。ご容赦願います)。

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