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2009年9月23日 (水)

親の介護問題-②:「有料老人ホームがあぶない」(花伝社)を読みました

17日(木)にデンバー(ASBMR)から帰国。シルバーウィーク(ゴールデンウィークとの対比で使っているのだろうが,こんな言葉いつから出来たのだろう?)のうち,昨日(22日)まで,関西に帰省していた。8月末に両親をとうとう老人ホームに入れたが,これで一件落着となるかというと,そうは簡単にいかないようだ。年をとればとるほど人間は新しい環境がストレスになるし,自分の家にいるのと比べて居心地がよくないのは当然だからだ。自宅で面倒を見てもらえることを自明のあるべき状態と考えている相手に対して,どんなにきれいごとを並べたり説明をしても,「姥捨て山に放り込まれた」 という反応は避けられない。

以前も書いたが,介護問題は今後15~25年の日本が対応しなければならない最も大きな課題だと思う。最も大きな課題の1つ,ではなく,文字通り,最大の課題という気がする。何故なら,介護問題には非常に多くの要素,側面があり,その問題の入り口により,医療問題であり,福祉問題であり,少子化問題であり,住宅問題であり,経済問題であり,外交問題にもなり得るからだ。

「有料老人ホームがあぶない--崩壊する高齢者住宅事業」(濱田孝一 著,花伝社)という本を読んだ。高齢者住宅施策の観点から介護や介護保険の現状や課題を説明した本で,非常にためになりおもしろかった。ただ,親や家族の介護問題に直面していない人がいきなり読んでもピンとこないのではないかと思う。今年は介護保険が導入されて10年目にあたるそうで,その間に,コムスン(グッドウィルグループ)の破綻をはじめ,多くの“事件”が発生しているが,後期高齢者(75歳以上)人口は2025年まで急激に増加することを考えると,これからが本当にたいへんな時期になるだろう。

有料老人ホームがあぶない―崩壊する高齢者住宅事業

この本は,タイトルだけみると住宅問題のみを取り上げた本のような印象を与えるかもしれないが,実際は介護問題全体を扱っている。本書の内容は豊富で,私にはうまく紹介できないが,<(介護や介護住宅に対する)需要が高くなるということと,事業性が高いということは,基本的に違います。>(49ページ)という指摘は非常に本質的で重要な指摘だと感じた。同様の記述はこの本のほかのページにもあったと思うが,ようするに,介護サービスや介護施設(住宅)を必要とする高齢者の数が増加することは100%確実であるが,「だから需要がある,儲かる」というような気持ちで参入すべき業界ではないということだ。

労働集約型のサービスの典型である介護を社会問題化させずに,うまく解決していくためには国全体として途方もない知恵と努力が求められる。自分の親に対する対応や,今後の自分の家族,自分自身のことを考えるだけでも,わたしは足が竦み,頭がクラクラするというのに。

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コメント

初めまして、濱田と申します。
拙著『有料老人ホームがあぶない』をお読みいただき、ご紹介いただき、ありがとうございます。
現在の高齢者住宅業界は、『官民のスピードの違い』『長期的視点の欠落』『勝ち組・負け組』等、今の日本社会の縮図のようです。
財源や人材が限られている中で、介護問題や社会保障にも『効率性』『選択と集中』という視点が不可避なのですが、なかなか箱物と違い議論が進みません。私の考えていることがすべてではありませんが、この数年で、本当に大変なことになるのではないかと思っています。
今後、どうあるべきかについて『有料老人ホームがあぶない② ~再生の糸口~』という本を書いています。
来年の頭くらいまでに、出版できればと思っていますので、またお読みいただければ嬉しく思います。

御礼まで・・・

濱田 様
 著者ご本人からのコメント,ありがとうございます。私のブログは,たいしたアクセス数もないので紹介したからといって御本の売り上げ増には役立ちませんが,個人的には非常に勉強になりました。あらためてお礼もうしあげます。次作も必ず読ませていただきます。
 実は本日も老人ホームに入れた親の「見舞い」に関西の実家に帰ってきているところです。

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