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2009年9月28日 (月)

親の介護問題-③:介護施設の人員配置基準から考える施設介護の恐ろしさ

雑誌や本からのきわめて断片的な知識と親を老人ホームに入れた経験だけからの荒っぽい印象でしかなく,不正確な記述がたくさんあるだろうとは思うが,どうしても書いておきたい。

高齢化とそれに付随する介護問題については,在宅介護の能率の悪さや困難さを指摘する意見が多く,介護者が倒れてしまう前に,あるいは,介護者の生活を守るためには,施設(特別養護老人ホーム,有料老人ホーム,その他)介護に頼るのが賢明,とのアドバイスが新聞や雑誌によく出ている。

それはたぶんそのとおりで,今の人口構造や(核家族が大半を占める)社会構造が大きく変わらない限り,選択肢はそれしかないのだと思う。実はもう1つ,医学や医療がもっと進み(あるいは後退し),要介護度の高い人の数が今の1000分の1くらいにならないと,核家族が減り,昔のように3世代同居家族が大半であるような状況に戻っても介護問題は残ると思うが,この方向で書いていくと,これはこれで長くなりそうなので今日はこの方向に話は進めない。ただ,例えば,今の介護認定の基準でいうと,要介護4と5の人がほとんどいなくなり,ほぼすべての人が死ぬ直前まで3くらいまでで留まることができるようになるまで医学や医療が進歩すれば,介護や介護施設の状況もずいぶん変わってくると思う。

介護施設の人員配置基準に話をもどすと,3:1というのが介護施設に求められる最低限の基準らしい(施設の種類によって違いがあるのか,その違いがどの程度のものなのか,そのあたりの詳細は知らない。ただ,いわゆる有料老人ホームとか介護付有料老人ホームの基準は3:1だ)。これは,入居者3人に対し,職員1の比率以上の人員を置かなければならない,ということだ。

もちろんこれは最低基準なので,「高級老人ホーム」などでは2:1やもっと多いところもあるのかもしれない。しかし,それほど金持ちでなく,貧乏でもない,“中流”の経済状態のまま年金生活を向かえた人が入れる有料老人ホーム(=入居金が100万円以下,毎月の支払いが15万円前後 + 介護保険自己負担額)(←これでも毎月20万円/1人,くらいは必要なので,国民年金しか入っていない私のような自営業者にとっては年金ではとても賄えない金額だ)では,基準ぎりぎりの人員配置のところがほとんどだ。

ただ,何も考えないで3:1と聞くと,1:1の専属ではないにしても,3人の老人を1人で世話するのだから,手厚い介護とまではいかないにしても,まあまあかな,という感想を抱かないだろうか。私も最初はなんとなくそう思ってしまった。

しかし,この3:1というのは,施設の入居者全体に対する3:1であり,しかも,24時間,1年365日でこうなのだ。さらに,この職員の数には実際には介護の実務をほとんどしない事務職員などの人数もカウントされるらしい(このあたり,正確なところは不勉強なので誤解があるかもしれません。また,この職員のうち,入居者20人に対しては看護師資格を持つ者が1人以上いなければならない,など細かい規定がある)。

これを1日8時間労働として,3交代勤務すれば,3:1はたちまち9:1になり,さらに,事務職員や管理職(=実際上,介護スタッフとしてカウントできない職員)まで3:1の1に含まれているとしたら,3:1の人員配置では,実際には10人以上の高齢者(要介護老人)の世話を1人の介護スタッフがやっているということだ。(現状では,ほとんどの介護スタッフの人が8時間どころか10時間や12時間などの長時間勤務についていると思う)。

自宅介護と施設介護を“人員配置”だけで単純に比較することはもちろん適切でないだろうが,それでも,自宅介護は通常,1(被介護者):1(介護者),あるいは,場合によってはそれ以上の“スタッフ”(介護者 = 家族や血縁者)がいる状態に近い。少なくとも,大家族が中心で,お嫁さんや子どもが年老いた親を介護していた場合,マンパワー的には,1:1どころか,1:2とか1:3もありえたかもしれない。

(以上,非常に粗っぽい記述であることは承知しているが,今はこれくらいしか書く気力がない)。

実際は介護スタッフの質(非常にバラツキが大きい)や入居者(被介護者)の心がまえというか覚悟あるいは性格,家族(施設に入れた子どもなど)の態度,など,さまざまな要因が変数となって,介護の質(あるいは介護に対する満足感/不満足感)はさらに大きく変動するのだろうが,人員配置基準(マンパワーの数)というサービスのいわば土台のところで,すでに無理があるのが現在の状況だと思う。

施設に親をあずけるということは,自宅で誰かが面倒を見ていた状態に比べると,3分の1~10分の1以下のマンパワーによる介護環境に放り込むということであり,やはり残酷なことだ。そういう残酷なことをしている今の自分がやりきれない。

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