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2009年10月26日 (月)

ついに出た!- インフルエンザワクチンの大騒ぎに対する批判記事

新型インフルエンザのワクチンをめぐる政府や日本国中の混乱やバカ騒ぎ報道を見ていて,いつかこういう記事が出ると思っていたが,ついに出た,という感じだ。

若者よ、新型インフルエンザに大いにかかれ
21世紀型医療は「自分で治す」~手を洗うな、マスクはするな、キスをしよう

というこの記事は,Japan Business Pressというサイトにされたもので,川嶋 諭 氏によるレポート記事だ。発言は<免疫学の世界的権威である>安保徹氏(新潟大学大学院教授)によるもの。

見出しだけを拾ってみても,<ワクチンに多額の税金は全くのムダ>,<若い人よ、積極的にインフルエンザにかかりなさい!>,<公園で子供を遊ばせた日は手を洗わせない>,<人間はウイルスを取り入れるためにキスをする>,<21世紀型医療は自己治癒力のサポート役>,<定期健診の数字に怯えるとがんにかかりやすくなる>

となかなか刺激的な言葉が並ぶ。しかし,冷静に読んでみると,それほど過激なことや無茶なことが書かれているとは思えない。「うーん,どうかなあ?」と疑問を感じる箇所もあるが,総合的な私の感想は「この記事に賛成」だ。

医療従事者へのワクチン接種が開始される少し前,受験生や乳幼児を持つ親を対象にテレビがイヤというほどワクチン不足をあおっていたが,「ワクチンを打っても,絶対インフルエンザに感染しないという保証はない」というごく当たり前だが一番重要なメッセージを目立つように繰り返し流していた番組はわたしの記憶ではなかった。コメンテーターとして出ていた「専門家」が,そのような内容のことを申しわけ程度に言うことはあっても,その発言に注意が向けられることはなくむしろ素通りしている感じだった。

<ワクチンに多額の税金は全くのムダ>かどうかは,大規模な研究でも行われない限り,結論のでない問題だが,「ワクチンさえ打てば」とワクチンを過剰にありがたがっている現状については,もっとおかしいと思うべきだろう。

そもそも,(季節性の)インフルエンザワクチンの有効性については,前橋医師会の調査報告書が出て以来,否定的なヒトは全く否定的だ。もちろん,これについては,反対意見もあり,現状ではどちらの見解が有力なのかは知らないが,医師の間でもまだ議論が残っているということを一般の人はどれほど知っているだろうか(それでもわたしは,季節性インフルエンザのワクチンを今年もすでに打ったが....)。

次に,新型インフルエンザについては,ウイルスが同定されているのだから(流行株を予想して作る季節性インフルエンザのワクチンに比べれば),有効性は確実なのかも?とは思うが,本当の有効性に関する科学的なデータはどう考えてもまだないはずだ(今,新聞やテレビなどで報道される有効性に関するデータといのは,抗体価の上昇を調べただけのものや,非常に短期間のデータだ)。今年流行したばかりで,厳密な有効性などわかるはずがない。最初は2回接種だったのが大人は1回接種でも有効となったり,子どもでも1回もで有効,という報道がなされたり,接種回数に関するこの混乱ぶりそのものが,「誰も(専門家でさえ)本当に正確なことはわからない」ということを示している。

わたしはなにも,専門家が当てにならない,と強調したいわけではない。ただ,今年大流行した新型インフルエンザについては,分かっていることよりも分からないことのほうが多いのではないか(?),くらいの想像力をどうして一般の人は働かせないのだろうか。

「分からないことが多いから心配なんだよ」と反論されそうだが,その分からない新型インフルエンザのワクチンについてだけ,何故,有効性に疑問を持たずに,「受験生は高校生と同じ順序で優先されないのか?」みたいな意見が出てくるのだろうか(テレビで何人かの浪人生がインタビューに答えているのを見た)。

いや,確実に言えることはいくつかある。それは予防と体調管理の重要性だ。1)手洗いをまめに行うこと,2)人ごみに出ることは控えること,3)睡眠を十分にとり,栄養バランスの良い食物を食べること,4)規則正しい生活をすること,さらに(有効性については多少議論あるようだが),5)(外出から戻ったときなど)うがいを励行する,6)マスクをつける(これは咳が出る人のエチケットの問題でもあるだろう)などを行い,そのうえで,万が一感染した場合の「発症予防」もしくは「重症化予防」を期待して打つのがワクチンではないのか。

そう考えれば,医療従事者が優先的に接種されるのは,患者との接触の濃さから考えて当然だが,それ以外の人は特に優先順位をつけなくてもいいんじゃないか。まあ,重症化のリスクは,新型に関しては,乳児や若い人が高いということなので,そこで優先順位をつけてもいいのかもしれないが,まず,徹底すべきは,上記の1)~6)で,それがきちんとされていれば,感染リスクは大幅に下がるし,感染しても発病しないか,発病しても軽い症状でおさまる可能性が高いはずだ。

なんだか,最初に紹介した記事の内容からはずれてしまった。<公園で子供を遊ばせた日は手を洗わせない>はちょっと無謀な気はするが,わたしも幼稚園児を持つ親として,子どもを簡単に医者に連れて行きすぎているという忸怩たる気持ちを内心抱いている。多少の熱や咳ぐらいなら,自力で回復させたほうが将来の健康にとっては絶対いいのはわかっている。(しかし,ここでも人間をダメにするインセンティブがある。医療費の無料化だ。自治体によって差はあるだろうが,わたしの住むところでは,小学生までは,保険の自己負担分は市が負担する[=結局われわれの税金]。ありがたいような,ダメになっていくような......。複雑な気持ちだ)。

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