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2010年6月10日 (木)

学会取材-米国臨床腫瘍学会(ASCO 2010)-⑥

だらだら書いていながら,内容のないエントリーで自分でもいやになる。

最終日(6/8)に聞いたEDUCATION SESSIONS,“Angiogenesis: Where Do We Go from Here?”のなかの,

Robert S. Kerbel氏(Sunnybrook Health Science Centre)の講演,“Contrasting Effects of VEGF Pathway-targeting Antibodies and TKIs on Microscopic versus Advanced Metastatic Disease”はおもしろかった。

現在の分子標的薬の主流は,抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)抗体やチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)だが,これらの薬剤を投与すると,micrometastasis,つまり,微小転移がむしろ増えたり,腫瘍増殖を刺激する,という研究知見が少なくないそうだ。Kerbel氏はいくつもの論文のタイトルをスライドで示していた(例:Anti-VEGF therapy as adjuvant therapy: clouds on the horizon?[補助化学療法としての抗VEGF療法の地平線に暗雲がたれこめてきたか?])。

 抗VEGF療法のようなanti-angiogenetic therapyは,細胞をhypoxia(低酸素)の状態にするが,その結果,HIF-1αが上昇し,腫瘍を刺激する。しかし,ミクロレベルでのそのような反応と臨床的効果とが相反するというこのideaは,新しいものではない,とKerbel氏は言っていた。

 そうは言っても,いわゆる分子標的薬の臨床効果は,現時点では,喧伝されているほどすごいものではないということも,Kerbel氏は指摘し,化学療法との併用,あるいは,monotherapyで化学療法との成績を比較したさまざまな癌種の臨床試験とその結果の一覧表を,スライド4枚くらいを使って示していた(40件くらいの試験が出ていた)。写真をとっておけばよかったと悔やまれるが,primary endpointで対照群と有意な差が出たものは少なく,出ていても,進行なし生存率(progression free survival;PFS)が改善されているのみで,全生存率(overall survival;OS)が明らかに延長するものはほとんどないということだった。

 同氏はまた,anti-angiogenesis効果が中心なので,血管増殖の関与する度合いの大きい,腎細胞癌,大腸癌,卵巣癌での成績がよく(腎細胞癌に関しては,OSが延長するという試験結果もある),胃癌,肺癌などの成績は落ちるとして,anti-angiogenetic therapyが効き易い癌と効きにくい癌を示した表も示していた(これも写真をとっておけばよかった)。

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