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2010年9月21日 (火)

「社内公用語」や「学会公用語」を英語にすることはムダな気がする

(前回の続き)

社内公用語や日本の学会でのofficial languageを英語にしても,社員全体,あるいは学会員全体としての英語によるコミュニケーションスキルの向上にはおそらくつながらないと思う。いくつかの角度から理由を書いてみる。

①最後は日本語に頼ることができる(逃げる余地がある):前回書いたように,楽天でも日本の学会でも,「日本語で失礼します」「日本語で質問していいですか」という逃げ道があるから,結局,コミュニケーションができないということはない。

もし,無理やりに日本語厳禁,とやった場合,1)ジェスチャーなど,非言語的手段(しかも,おそらくきわめて日本語的なジェスチャー)を使ってコミュニケーションをとろうとする人があらわれる。2)十分な意思疎通ができず,会社の場合は,業務に支障が出たり,学会の質疑応答などでは,意義のある議論ができない場合が出てくる。3)2)の場合,企業では,会議や会社を離れてから,もう1度,社外で日本語による確認(メールや電話などで)や“2次会”が行われる。また,学会の質疑応答などの場合,まともに質問してくれなくなる(これは,海外の学会で英語が上手でない日本人研究者が発表した場合に実際に起こっている現象だ)。

②英語のプラクティスや勉強時間の増加にはならない:わたしは自分でも昔,英会話学校で教えていたことがあり,それこそ,日本人の生徒相手に,英語のニックネーム(ちなみにわたしは当時,サム,と呼ばれていた)で呼び合う授業などを担当していたことがあるのでよくわかるのだが,どうも日本人は,英語(英会話)を話す機会をつくりさえすれば,英語が上達すると安易に考える傾向があると思う。そのきわめつけは,外人講師の授業を受ければ英語(英会話)がうまくなる,という考えで,いまなおなくならない,外人講師を売りとした街の英会話学校が繁盛する理由もそこにある。

だが,わたしに言わせれば,日本人同士であれ,外人講師とであれ,会話の機会(レッスン)を受けるまえに,十分なプラクティス(音読,暗唱,想定Q&Aに基づく1人芝居)をやらなければ,そういう授業は無駄に終わることが多い。

武道でいえば,形の稽古を十分にやらないで,いきなり,組手ばかりをやりたがっているようなものだ。

③プレゼンテーションやスピーチ,ひいてはコミュニケーションそのものに対する姿勢が英語を母国語とする人たちと日本人では全然違う:②とも関連するが,日本人はプレゼンテーションやスピーチに対する考え方が甘いと思う。そういうものに価値を置いていないと言い換えてもいいかもしれない。一方,英語はその反対の言語だ。

学会の例で言うと,海外学会などでよく見かけるのは,オーラル発表をする演者が,自分のセッションが始まる前に会場にきて,演台にあがって,自分の発表スピーチを練習している場面だ。指導教授のようなボスが聞いていてアドバイスをもらっている人もいれば,1人で練習している人もいる。8月に行ったICSでも,過去に何度も発表している若手のイギリス人の男性研究者が,練習している場面を見た。

日本の学会で,日本人の先生が日本語で発表する原稿を,会場に早くきて練習しているという場面にわたしは遭遇したことがない。

英語のネイティブスピーカーが英語で発表するのに,あれほど一生懸命に事前練習(しかも,学会発表の経験が相当豊富な人ですら)している一方,日本の学会で日本人ドクターが日本語の発表をする場合,それほど事前練習しているとは思えない(会場でやらないだけで,別の場所で何度もしているのかもしれないし,やっておられる先生もいるとは思うので,あくまでも,わたしが目にした限られた範囲での感想です)。ましてや,不慣れな英語で発表し,質疑応答もこなすのであれば,日本の学会で日本人同士でやるのであれ,海外の学会で外人相手に発表するのであれ,英語のネイティブスピーカーの何倍も練習しなけらば,たちうちできるわけはないと思うのだがどうだろうか。

以上,①,②,③の理由により,社内公用語を英語にしたり,(日本の学会での)発表言語を英語にしても,それだけで,「英語で外人と十分なコミュニケーションが図れる人材の増加」には(それが目標とすれば)あまり役に立たない思う。

ではどうすればいいか?特効薬はないと思います。長くなったので,今度,続きを書きたいと思ったときにまた書きます。

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