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2010年10月20日 (水)

学会報告-米国骨代謝学会(ASBMR 2010 - ③

初日(10/15[FRI])の3:45PMからのASBMR/ECTS CLINICAL BEBATE - TOO MUCH SUPPRESSION OF TURNOVER IS BAD FOR BONE(過剰な骨代謝回転抑制は骨にとって害がある)を聞いた。

atypical femur fracture(非定型的大腿骨転子下骨折)のことが話題になっているので,聞く前から内容は大体予想ができたが,予想通りであった(わたしの理解が間違っていなければ)。

そもそも論題自体が肯定(悪い)という主張に有利になっている。そう思っていたら,最初のディベーター(否定側)のIan R. Reid氏(University of Auckland, New Zealand)が,オックスフォード辞典の定義を出してきて,too muchという言葉に,desirable levelを超えたという意味がるので,“Too much of any thing”は悪いに決まっている,と言っていた。もちろん,moot point(論点)はそこにあるわけではないとも言って,本題に入ったが。

(時間がないのでディベートの内容は詳しく書けない,というか,5日前に時差ボケの頭でボート聞いていただけなのでよく覚えていない)。

ディベートは,開始前の会場からのアンサーパッドの集計では80数パーセントがTOO MUCH IS BADに賛成。ディベート後は60数パーセントがTOO MUCH IS BADに賛成という結果だった。

1つだけ覚えているのは,ディベート後の質疑応答で,あるじいちゃんドクターが,「現在の健常者の骨代謝回転の程度そのものが過剰なのではないか」というような内容(正確には覚えていないが,内容はそうだったと思う)の質問をしたことだ。じいちゃんドクターと書いたが,この人は,このディベートセッションの前に,ASBMR WILLIAM F. NEUMAN AWARDの表彰を受けた骨代謝研究領域の泰斗らしい(名前失念)。

人間の身体・生理の進化は,環境の変化よりも遅れるので,現在の健康な人(正常な人)の機能が,現代社会の生活にとっては不適切になっていることは十分ありえる。例えば,糖尿病は昔,飢餓が問題だった頃に人間の生存を維持するために役立った,いわゆる“倹約遺伝子”が,現在の飽食の時代にも働いていることが問題―というよなことが一時話題になった(いまはどうなのか知らないが)。

また,米国の黒人に高血圧が多いのは,昔,奴隷船でアフリカから新大陸に船に詰め込まれて連れてこられるときに,暑い船のなかで水分も十分与えられずに多くの黒人が死んだが,そのなかで,生き延びた人が現在の米国の黒人の祖先だから(つまり,レニン-アンジオテンシン系が非常に強く働き,水分不足の環境でも血圧を維持する生理なり遺伝子を持っていた人),という話を聞いたことがある(この話は,元福岡大学教授の荒川先生がよく言っていたような記憶がある)。

同様に,現代人にとって,現在,正常とされる骨代謝回転の程度が,過剰なのではないか。だから,正常レベルそのものが,過剰であるから,それを抑制することが重要なのではないか,と,ASBMR WILLIAM F. NEUMAN AWARD受賞者のこのじいちゃんドクターの質問は,そういう趣旨の質問だと思った。

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