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2011年11月 8日 (火)

学会取材-第13回 日本骨粗鬆症学会:ガイドライン改訂シンポ- 質疑応答最後のFRAX批判に思わず肯いてしまったぁ。。。。

前のエントリーでえらくもったいぶったことを書いてしまったが,10月以降に国内で取材した学会は,「Worldsleep 2011」(京都),「臨床細胞学会-秋季大会」(東京),「日本癌治療学会」(名古屋)そして,「骨粗鬆症学会」(神戸)の4つ。

Worldsleep (日本睡眠学会と併催)が一番早く(10月中旬),それぞれの学会で「素人の疑問」(= その7~8割くらいは自分の知識不足が原因であることは承知いたしております)をいろいろと抱いたが,書く気力が途中でなくなりそうなので,とりあえず,記憶が比較的鮮明な新しいものから書いておこう。

今回の日本骨粗鬆症学会の目玉の1つは,やはり,「ガイドライン改訂のシンポジウム」(シンポジウム7)であったと思う。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライ2006年版」を改訂し,年内にも「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」が出版されるようだ。

2006版発刊以降に発売となった新しい骨粗鬆症治療薬(2011年3月までに承認のもの)〔ミノドロン酸(= ビスホスホネート),エルデカルシトール(= 活性型ビタミンD3製剤),バゼドキシフェン(= SERM),テリパラチド(= PTH製剤)〕は,当然,推奨薬のリストのなかに加わる(抗RANKL抗体のデノスマブは入らないが,これは承認が2011年3月以降だったこともあるが,何よりも適応が骨粗鬆症ではなく,「がん骨転移による骨病変の治療」薬として承認されているからだろう)。

薬剤に関しては,エストロゲン製剤のうちのいくつかが,推奨グレードが2006年版より下がったり,エチドロネート(古いビスホスホネート)の推奨グレードが一部下がったりするようだが,大改訂というほどの変更はないという印象を持った。

一番大きく変わった(2006年版と比べて)のは,骨粗鬆症薬物治療の開始基準,と言われるやつで,「1300万人とも言われる日本の骨粗鬆症患者のなかで治療を受けているのは30%程度に過ぎない」と,よく言われる現状認識に対し,もっと多くの患者が骨粗鬆症治療を受けるようにするために,いろいろと「治療開始のハードルを低くした(?)」ということだろうか。

そこで導入されるのがFRAXと呼ばれるWHO骨折評価ツールだが,これに関して,シンポジウムの質疑応答セッションの最後のほうで,フロアからある先生が「自分はFRAXの導入には賛成できない」と言って,座長を務めていた折茂先生と中村先生が,やっきになって反論(口封じ?)をしていたのがおもしろかった(おもしろかった,は不適切表現かもしれないが)。

FRAXというものがあることは2年くらい前に知ったが,素人的にも疑問符がいっぱいでてくるツールだと思っていた。

最初に(2年くらい前に初めてこのツールのことを知ったとき)わたしがヘンだと思ったのは,DXAによる大腿骨頸部骨密度(BMD)の値を入れても入れなくてもいい,というところ。入れても入れなくてもいい?それで同じ値が出るのなら,最初から入れないようにしていればいいはずだが,実際には入れた場合と入れない場合で,リスク値(正確には,10年骨折発生確率)(%)は異なる値になるようで,今回の学会も,それを指摘した発表もあった。

しかも,FRAXは「FRAXに採用された骨折の危険因子は広島コホートを含む世界10カ国の一般住民(約6,000人の男女)からなるコホート調査の結果をメタ解析し設定されたとしているが、解析方法の詳細については公開されていない。」そうだ。

また,FRAXに関してどうしてもヘンだと感じるのは,今回の学会の一般演題でもそのような発表がいくつかあったが,例えば,「FRAXを使って骨折リスク評価を〇〇〇人にしました。そのうち,●●人がその後,外来にきて骨密度を測定してもらいました。そのひとたちの骨密度は△△ g/cm2で,そのひとたちはFRAXで高リスク(ガイドラインではリスク値15%がカットオフ値になるそうだ)と判定された人に多かったです。よってFRAXは有用です」というようなストーリーの発表だ。

同様の一般演題はいくつかあり,そのときの座長の先生が,「FRAXというのはそういう目的で使うツールではないはず」と一度ならずコメントしたのを聞いた。

しかし,これは一般演題に限らず,例えば,シンポジウム7でも,FRAXの有用性(?)を支持するデータとして,長野コホートとか,ほかに名前は忘れてしまったが,とにかく,日本の大規模なコホートのデータをもとに,「そこで骨折した人をFRAXで評価しなおすと(?),リスク値がカットオフの15%よりも低い値が出た。したがって,FRAX 15%のカットオフ値は妥当であるばかりでなく,むしろ,控えめなカットオフ値だ」と。最後の一文は,実はそこまではっきりとは言っていなかったが,ニュアンスとしてはそういう意味合いのメッセージともとれる発表であった。

しかし,これも,頭の悪い素人のわたしにはどうしても???とクエスチョンマークが出てきてしまう。FRAXそのものの評価が定まっていないのに,それを基準にして,そのツールで出た値と比べて,FRAXでのリスク値より高いとか低いとか,FRAXではこういう値になったとか,そのような発表とか研究はいったい,なにほどの意味があるのだろうと,正直思う。

臨床試験や薬剤のグレードについては,やれEBMだ,やれエビデンスレベルだ,と言っているわりに,FRAXに関してはどうしてこうも「素直に」その“有用性”が受け入れられるのか,ど素人のわたしにはよく理解できない疑問であった。

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