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2012年5月 9日 (水)

学会取材:米国精神医学会 (APA 2012) 取材- その③ 診断基準やガイドライン改訂時には必ずいろんな批判が出てくるが。。。。

学会取材、と書いていながらどうでもいいようなことばかりを書いているが、ま、それはこのブログ全体のテーマ(?)だから仕方ない。ブログを書く理由については、3年前にも書いたが、基本的な姿勢は変わっていない。まあ、そろそろ、マスターベーション的な個人ブログから離れて、営業ツールにもなるような、実名で書くブログなりホームページなりを作りたいとは思っているのだが、なかなか日々の生活に追われて具体的な準備にかかれない。

ところで、DSM-5のことを少し書いたが、診断基準の改訂や変更があるといろいろな批判やコメントが出るのは不可避だ。これは精神科だけでなく、ほかの領域でも同じ。そのときに、出る議論(批判)も、いろんな次元(ディメンションか?)のものがあるが、批判の軸を素人なりに上げると、

1)過剰診断←→過小診断

2)使いやすさ←→使いにくさ

3)正確性←→不正確性

4)利益相反多い←→利益相反少ない

あたりだろうか。もちろん、これらはお互いに独立した軸ではなく、それぞれが交互に混じりあう。

2)については、研究者のツールとして精度の高いものにしようと思えば、一般開業医(クリニック)での臨床には実用的でなくなる可能性が高くなる(そのために、臨床医向けの簡易版とか、患者向け、などが出ることもよくある)。

3)は、妥当性(validity)とか信頼性(reliability)の有無、それと、1)にも関係してくる。

4)は、ツイッターでもアメリカ人記者の記事を紹介したが、「作成委員が製薬会社と強いつながりある」というような批判の有無だ。

1)については、これも会場前であったAPA批判のデモ写真をツイッターにアップしたが、「過剰に病気を作っている」という類の批判だ。

こういう内容の批判は、ほかの領域でも時々聞かれるが(コレステロール値に関する日本脂質栄養学会の批判やそのまた批判などの泥試合的やりとりもあった)、精神科では、DSM普及後のうつ病診断数の多さ(特に日本?)や、米国で、小児の双極性障害の診断数が急増したという話もある。(なんでも、ある時期を境に30倍に増えたとかいう話も聞いた)。

これについては、その後、アメリカの大学の有名な先生が、「製薬会社との強い関係を指摘されて」批判にされされた、というエピソードが知られている〔医学書院発行の「双極性障害. 躁うつ病の分子病理と治療戦略(加藤忠史著)発行 1999年06月」にもそのことが触れられている〕

DSM-5では、“'Psychosis Risk Syndrome”(あるいは、今回の学会発表のスライドでは、Psychotic Risk Syndromeという表現も見た)という概念(“精神病リスク症候群”?)が、「過剰に病気を作る」(過剰診断)リスクが高いとしてウェブメディアを中心にいろんな批判がある。

一方、Autistic Disorder (AD;自閉性障害)、Asperger Syndrome (AS;アスペルガー症候群)、Pervasive Developmental Disorder - Not Otherwise Specified (PDD-NOS;特定不能の広汎性発達障害)がAutistic Spectrum Disorder(ASD;自閉症スペクトラム障害)に統合される予定で、これについては、現在であれば自閉症と診断される多くの人を締め出す(つまり「過小診断」になる)という批判がある

何が正しいのか。それぞれに「立場」や「利害関係」があるから、簡単な答えはないだろう。また、APA前の反対デモの人たちのように「APAは子どもを精神科の病人にして向精神薬づけにしている」といった、ある意味、単純な批判はわかりやすいが、こういう批判だけでは、意味のある答えは導き出されないだろう。

また、「DSM作成ワーキンググループの製薬会社との利益相反」批判も、的を得たものであれば意味があるが、「医者と製薬会社がつるんで」、といったステレオタイプな批判も(個別には批判されるような例はあるかもしれないが)、建設的な結果をもたらすとも思えない。

ところで、今回のDSM-5の改訂で、Social Anxiety Disorder〔SAD;社会不安障害(日本では、「社交不安障害」という名前に変わったが)〕の1つとして、olfactory reference syndrome(体臭恐怖)が、Appendix(付属書)の中かもしれないが、記載されるようである。

シンポジウムの発表でも、日本の古くからの研究として、“Taijin-kyofu (対人恐怖)というものがある、と何度が言及されるのを聞いた。日本人としてはなんとなく誇らしく思ったが、アメリカ人の発音で“Taijin-kyofu(タイジンキョーフ)と言われると、疾患名というよりも、何かのキャッチフレーズでも連呼されているようで、妙な気分になった。

ただし、個人的には、極度の赤面恐怖症や体臭恐怖、顔面恐怖症の人をSADとして治療対象とすることはともかく、「あがり性」を「あがり症」として、すべて薬物療法の対象とするような傾向には抵抗を感じる。

以上、とりとめのないメモ書きでした。

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