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2013年6月

2013年6月26日 (水)

学会取材:米国糖尿病学会(ADA 2013)-あと2時間で出発

シカゴでの仕事も無事終了。午前の直行便で日本に帰る。今回も昨年と同じ依頼主からの速報仕事で,アサイメントの量は,個人的には時間的にも体力的にもほぼ限界に近かったが,なんとか順調にやり過ごすことはできた。

5月16日からのサンフランシスコ・米国精神医学会(APA)から始まった「ドサ周り」の1カ月半もこれで終了。この期間の3分の2は出張ないしは帰省(親の法要等)(サンフランシスコ,福岡,大阪,シカゴ2回)でさすがに疲れた。

今年前半の仕事もこれで終わり。4月までは厳しかったが5~6月はしっかり稼いだのでなんとか挽回できた。7月以降は現時点では見通しよくない。不安だが,過去5年間も同様の不安をいだきながら,年末にはなんとか帳尻を合わせられたのでなんとかなるか,とWishful Thinking(希望的観測)で自分をなぐさめている。それじゃあ,いかんのだけど。

今回のADAは上記のとおり,本来の仕事で手一杯だったので,自分のお勉強のための聴講はまったくできなかった。唯一,聴いたのが6月24日(お,オレの誕生日だった)の10:15からのNational Scientific & Health Care Achievement Awards Presentationsのあとに続いて行われた,Outstanding Scientific Achievement Award Lecture。

ドイツ・Max Planck Institute for Neurological ResearchのJens C. Bruning教授による講演,“Insulin Action-Beyond Its Classic Targets”は,消費税率(5%)程度しか理解できなかったが,それでも非常におもしろいと感じた。

わたしは知らなかったが,非常に著名な人らしいので,その研究内容は専門家では知れ渡っているのだろう。インスリンの中枢神経系(脳)におけるpleiotropic effects(多様な作用)を研究課題としている人だ。

・インスリンは視床下部弓状核(arcuate nucleus of the hypothalamus;ARC)のニューロンに作用して,グルコースと脂肪代謝を制御している。

・肥満発生に際して,炎症関連シグナルが,ARCにおいてインスリン抵抗性を惹起させる。

・肥満発生時に,ARC外のニューロンは,非生理的レベルのインスリン感受性を獲得し,その結果,体重コントロール〔VMH = ventromedial hypothalamic nucleus (視床下部腹内側核)〕とグルコース代謝〔LH = lutenizing hormone(黄体形成ホルモン)〕が障害される。

・インスリはドーパミンニューロンにも作用して,体重と摂食活動の快楽的側面(hedonic aspects of feeding)の制御にもかかわっている。

・FTO遺伝子(Fat mass and obesity associated gene = 脂肪量と肥満に関連する遺伝子)のvariant(変異体)は,ドーパミンニューロンを制御し,これらのニューロンで支配されている行動反応を調節する。

以上がサマリー部分の抄訳だが,自分で書いていてもよくわからないが,おおざっぱに言うと,摂食活動というのは基礎代謝やエネルギー消費量の過不足で影響されるような栄養学的な理由だけでなく,ドパミン系の快楽経路にも強く影響されるっちゅうことやないかな(急に大阪弁になり,すいません)。それで,インスリンもその脳内のシグナルに深くかかわっている,つまり,単純に,余分な糖の代謝(肝臓や筋肉への取込み)だけがインスリの作用やないっちゅうことや。

(このパラグラフ以下は帰国後に書いている)ダイエットがなかなか成功しないのも摂食活動のこういう“精神的側面”,“心理学的側面”が占める影響が強いからだろう。抗肥満薬として承認されている薬や開発中の薬がすべて(ほとんど?)が中枢神経系に作用する薬であるのも当然か。

話脱線だが,さらにダイエットを考えるうえで重要なのは,社会的,経済的因子だ。ADAでもそういったタイトルのセッションだか,発表があったような気がするが,時間がなく聞けなかった。

このことは,糖質制限ダイエットからみでいつか書きたいと思っているのだが,これもあらっぽくまとめると,経済的に貧しいと太りやすい(なぜなら,値段の安い炭水化物中心の食事の量が増えるから)。糖質制限に限らないかもしれないが,ダイエットをきちんと継続するには,金がかかるのだ。

2013年6月19日 (水)

またシカゴ―米国糖尿病学会(ADA 2013)取材

明日から第73回米国糖尿病学会(ADA 2013)の取材でシカゴへ行く。熊本の日本糖尿病学会(JDS)はほかの仕事と日程が重なって行けなかったので,今年初めての糖尿病関連学会だ。

先週末は母親の二七(ふたなぬか)の法要参列のため実家に帰ったが,日頃,無信心の仏教徒(だったのか?)の自分にとって,「葬式仏教」となった日本の寺と坊主の堕落ぶりを見せつけられた気がして,良い気分ではなかった(宗派は浄土真宗)。通夜にも葬式にも出ず,その後の法要も兄夫婦にまかせっきりにしている気楽な立場なので言えることだが。。。

自宅の住宅ローンを払い終わったら,近所の霊園を回って墓を買っておこう真面目に考えている。自分が死ぬときは,無駄金は一切つかわず,最低限の式と供養ですませるよう明確な指示を残しておくつもりだ。

ADAとはまったく関係ない話になってしまったが,5月末から6月初旬のASCO(シカゴ)期間中に母親がなくなったので,日をあけずしてまたシカゴというのはどうも気分がよくない。乗り換えなしの直行便で行けるのでシカゴは嫌いじゃないけど。

ADAの今年のトピックス演題がどういうものであるのか,事前準備不足で検討がつかない。いつも通りの出たとこ勝負だぁ。

2013年6月 6日 (木)

ランドマークとなった今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2013)-デジャブ感と嫌悪感と悔恨

ASCO閉会直後に,ASCO,ランドマーク,なんて言葉を入れたタイトルのエントリーをあげるとメディカル関連の業界から,アクセスが一時的に増えるのだが,ASCOの発表内容とは関係のないことを書くので,そういうことを期待されている方はほかのサイトをご覧ください。

と,もったいつけた始まりだが,シカゴにいることは確かである。学会は4日に終了したので大半の人は5日にシカゴを発つが,わたしは現地で仕上げなければならない原稿書きの仕事があったので1日滞在を伸ばした。もっとも,当初依頼されていたその仕事は結局,キャンセルになったが。。。

今回のASCOでのアサイメントはライターとしてのそれではなく,ちょっとイレギュラーなものであった。それについて書くつもりはないが,久しぶりのASCOで目にした光景には驚いた。

がん領域は現在,日本や欧米の大手製薬メーカーがもっとも力を入れている領域であり,ASCOはそのためのマーケティングの最大機会であることは間違いない。シカゴの中心部にある主要ホテルでは大小のラウンドテーブル(座談会)やミーティング,セミナーが数多く開かれ,KOLs(Key Opinion Leaders)と呼ばれるドクターやその候補(と製薬会社が判断している)ドクターはそのような数多くの会合に招待されて忙しそうであった。

その光景に妙なデジャブ(既視感)を抱いたので記憶をたどっていたら,10数年前の米国心臓協会(AHA)や米国心臓学会(ACC),欧州心臓学会(ESC)がこんな感じだったなあと思いだした。最近はこれら3つの学会を取材する仕事がわたしには来ないので,現在の様子は知らないが,まだ,医学新聞の社員だった頃,アムステルダムで開かれたESCで,学会期間中,朝から晩まで,座談会やら対談,セミナー等(学会の講演ではない)に呼ばれて,おそらく一度も学会のセッションに出席せずに走り回っていた有名教授(ら)を思いだす。今年のASCOでも似たような風景をみた。

しかしなあ。京都府立医大の某有名教授とノバルティスとの関係にまつわる問題で循環器の論文が撤回され,新聞で大きく報じられ,あまつさえ,いろんな疑惑がネットでも流れ,学会や厚労省も批判的見解を出しているこの時期に,オンコロジー領域では,製薬メーカーの社員と日本の(有名)ドクターが,なんと無防備な付き合い方をしているのかと訝しく感じざるをえなかった。

しかも,私立大学ならまだしも,国家公務員と同等の義務を負っているはずの独立行政法人のドクターもそういう点をあまり気にしているふうではなさそうだった。

そんなことを思いながら,自分の稼ぎ(報酬)もその末端にこぼれ落ちてくる金の一部なのかと半ば嫌悪感を抱いていたら,シカゴに着いて4日目の6月2日の早朝,母親の急死を知らせる連絡が配偶者からあり,(仕事をほっぽりだして帰国するわけにもいかないので)通夜も葬式も出られぬまま,悔恨だけが残った。

最後まで,出来の悪い,親不孝な息子だった。合掌。

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