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医学・医療

2016年6月15日 (水)

学会取材-米国糖尿病学会(ADA)2016 - 新製品発表会かと感じた<LEADER試験>のシンポ。なんだかなあ。。。

14日17:30ニューオリンズ発のUA便に乗り、今、ロサンゼルスのUAラウンジにいる。午前1:20発のANA便で、16日の午前5時に羽田着予定。3日かかりの帰国だ。ビジネスラウンジに入れるからいいとは言うものの、乗り継ぎ時間が7時間半とは、なんだかなあ。。。

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今回のADAの仕事はイレギュラーな仕事で、終わってみればちょっと拍子抜けだったが、今年の目玉ともいえるLEADER(international  Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results—A Long Term Evaluation)試験の発表シンポジウムについて感想を少しだけ書いておく。

自分の仕事もこのシンポジウムを聞くことだったのだが(ただし、私の仕事のスポンサー企業はリラグルチドのライバル会社)、まずは発表の場の雰囲気に違和感を感じた。LEADER試験がGLP-1受容体作動薬のなかで、はじめてMACE(major adverse cardiovascular event)をプラセボ群と比較して有意に抑制した、ということはすでにこの薬のメーカー(ノボノルディスク社)からプレスリリースとして出されていたので、今回はその正式発表ということになる。実際、シンポジウム終了直後にデータのembargoは解禁され、論文もNew England Journal of Medicineに発表された。

発表シンポジウムは最も広いF会場で行われ、1時間以上前から入場を待つ人が集まっているのに、開始の30分弱前まで入口を開けない。そこでまず、わたしはイヤな作為(操作)を感じた。ほかのシンポジウムなどではもっと早い時間でもドアは開けていたし、会場はバカでかいので早く開けて中に入れたほうが廊下の人だかり・混雑を緩和できるのに、まるでわざと混雑・人だかりを作って、写真の被写体を作っているようだった。

開場後も、これからまるでiPhoneかなにかの新製品発表会でも始まるのか、というような一種異様な雰囲気で、聴衆の少なからずが興奮ぎみだった。開始までに流される音楽も医学の学会の発表前の音楽としては場違いな感じがした。

そして発表が始まると(9つのプレゼンテーション。そのうち、Discussantとして最後に発表した人以外は、LEADER試験の試験委員)、演者がいいデータに触れるたびに、明らかに、「さくら」 と思しき人たちが一斉に拍手をし、それにつられて聴衆の多くも拍手する、といった具合で、完全にお祭り騒ぎ。

糖尿病治療においては、血糖コントロールで細小血管障害は防げるが、大血管障害の予防についてはエビデンスがないというのは、わたしがこの仕事を始めたころから言われていたことで、唯一、UKPDSが厳格コントロールで大血管障害も予防できるということを、長期のフォローアップで「証明」しているだけだった。

それが、昨年、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジンで、MACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の3ポイント)を有意に抑制できることが報告され(EMPA-REG試験)、話題になった。

LEADERはそれに続くCVアウトカム(同じく3ポイントMACE)抑制のエビデンスで、GLP-1受容体作動薬としては初のエビデンスなので、話題になるのも力を入れるのもわからないではないが、あの発表の場の雰囲気は、なんだかなあ。。。

ま、素人が医学的な内容についてコメントするのはやめておくが、試験で発表されたこのスライドを見ると、

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1人を心血管死から救うには、104人を3年間治療する必要がある。これをリラグルチド(ビクトーザ®)の日本の薬価で計算すると(処方量を日本の1日最大の0.9mgとして。LEADER試験では平均1.7mgくらい使われていたらしい)、わたしの計算が間違っていなければ5500万円くらいになる。糖尿病による心血管死を1人救うのに5500万円かかる治療が、統計学的に有意な治療であっても、はたして臨床的に(あるいは、医療経済的に)意義あるものと言えるのかどうか。。。。。

なんだかなあ。。。

今回のADAでは、ほかにも、なんだかなあ。。。と感じること(学会運営の仕方に関して)があったが、もうそろそろゲートに向かったほうがよさそうなのでこのあたりでキーボードを置くことにする。

2016年6月 7日 (火)

学会取材-米国臨床腫瘍学会(ASCO 2016) 証拠写真だけ。。。

6月3日からのシカゴ仕事も終わり。あと40分ほどでホテルをチェックアウトする。疲れた。。。。証拠写真だけ貼っておこう。

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3年ぶりのASCOだったが、そのときは、シカゴ滞在中に母親死去の連絡が来た。しかも、到着してわかったが、滞在ホテルはそのときと同じホテル。ちょっとイヤな予感がしたが、仕事に関しては大きな失敗はなかった。心が折れそうな作業が多かったが。。。。(自分の心をゴムにして、感受性を殺した)。なんかよくわからんな。。。。。

やはり免疫チェックポイント阻害薬が一番の話題か。里見清一氏の「医学の勝利が国家を滅ぼす」を昨年読んだので、nivolmab(オブジーボ)のことは少し関心があったが、それ以外にも-mabい薬の発表が多数あり、頭がくらくらしそうだった。

ただ、まだ第II相の試験が多く、「この成績なら第III相に進んでもいいよね?」的な発表が目についた気がする(本当にpromisingな結果ならまだしも、素人目にみても、全然だめじゃないの?というようなものでも、なんやかやと理屈をつけて、第III相に進むrationaleは整った、なんて結論づけている(多いのは、「有害事象に関してはすでに報告されているものと変わりはない」というもの)。

シカゴ入国の際、入国審査を自分でする機械みたいなのがあって新鮮だった(スーパーのセルフレジみたいなものか)。ただ、わたしは新しいパスポートでESTAも更新したばかりなので、first time visitor扱いで長い列にならばなければならなかった。今週の土曜日、また、ダラス経由でニューオリンズに行くので、そのときはあの機械を使うことになるのだろうか。スーパーのセルフレジは苦手で、あってもわたしは必ず人がいるレジに並ぶので、うまく操作できないかもしれない。

今回の初体験をもう1つ。わたしは大手3社でない、MVNOのSIMフリースマホを使っているので海外では音声通話やSMSができない。プリペイドのSIMを購入してはめ込めばできるのは知っているが(いつかは使うかもしれないが)面倒なので、今回はポケットWi-Fiを初めてレンタルした。ホテルやASCO会場ではWi-Fiが使えることはわかっていたが、ASCO会場はともかく、ホテルの無料Wi-Fiなどは不安定なことも多いし、街を歩いているときに、家族からの緊急連絡をとれるようにしておきたかったからだ。使いかってはすごぶるよいが、自分の使い方だと、安いとはいえ(1日700円程度)なくてもいいかな、という気もした。

2015年8月11日 (火)

<ストレスチェック制度>に対する疑問持っている人,オレだけじゃなかったのね

12月から施行されるストレスチェックに関するこんなニュースをYahooで見た。

従業員ストレスチェック、12月義務化 商機にIT業界も参入

先日,この制度に関する疑問をひかえめに書いたけど,このYahooニュース(配信元は産経)のコメント欄に目を通したところ,オレと同様の意見・感想・疑問を多くの人が抱いているの知って安心した。

2015年8月 8日 (土)

学会取材-第12回日本うつ病学会/第15回日本認知療法学会

もう8月かと思ってボーとしていたらすでに8日。来週はお盆の墓参りで日帰り“大阪出張”がある。暑いので気が重い。

先月,新宿京王プラザで開かれたうつ病学会と認知療法学会の取材仕事が1つあった。すでに仕事としての原稿提出は終わったのだが,ストレスチェック制度について素人的な疑問を抱いたのでメモっておこうと思う。

ストレスチェック制度とは,改正労働安全衛生法に基づき新たに設けられた制度で,改正法が平成26年に成立,平成27年12月1日から施行される。細かいことは厚労省のサイトにアップされている

今回の学会でもこの制度に関連したシンポジウムや演題がいくつかあり,わたしもいくつか聞いたが,こういう制度が今年から実施されることは知らなかった。ただ,2~3年前に産業精神衛生を専門とするある先生(著名な教授)から,企業の健康診断項目の1つとして,精神衛生に関わる検査を導入するという案が出ているがなかなか簡単ではない,という話を聞いたことを思い出した。職場や仕事に関連したストレス度を評価するテストはすでに多数開発されており,どれを採用するかで利害関係が絡むこと,また,身体の健康診断とちがって,精神衛生の関わる健診はプライバシーの問題等もあるからだ。

以後,どういう経緯や議論を経て今年12月から始まるストレスチェック制度になったのかは知らないが,1次予防を謳っていながら,身体の健康診断のように全社員に行うものでもないようであり,いったい何がしたいのかよくわからない(「ストレスチェック制度とは、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務付ける制度,と書いていながら,(「ストレスチェックを受けないこと、結果の提供に同意しないこと、または面接指導の申し出を行わないことを理由とした不利益取扱いを行ってはならない」とあるので,従来の健康診断のように全社員に行うものでもないようだ)。

もっとも,「従業員数50人未満の事業場は制度の施行後、当分の間努力義務」とあるように,最初から小さい会社の社員は眼中にないのだろう。まあ自分は,自営業となった今はもちろんのこと,会社員時代も産業医とか産業衛生(産業保健)のベネフィットとは縁のないところ(「衛星委員会」などという組織の存在しない会社)にいたので,大企業の従業員を対象としたこういう制度そのものに反発(やっかみ?)があるのはたしかである(わたしがサラリーマンをやっていた複数の会社でも,年に1度の健康診断はあったし,名ばかり[名前貸し]の“産業医”もいることはいたが)。

今回は認知療法学会との合同開催なので,認知療法学会の一般演題も数演題のみだが聞いた。しかし,どれも,なんというか“言葉の遊び”をしているような感想を持ってしまうのは,それこそわたしのパーソナリティに問題があるからだろうか。ま,具体的な細かいことは忘れたのでこのへんで筆をおこう。

2015年6月 7日 (日)

学会取材-国際精神薬理学会(CINP)テーマ会議-ダブリン

こういうタイトルのブログ更新久しぶりだなあ。次はいつになることやら。

6月4〜6日まで、ダブリンで開かれた国際精神薬理学会(CINP)のthematic meetingに出席した。今、ダブリン時間の午前2時。あと1時間で空港に向かう。5時台の飛行機とはちと辛い。経由地のフランクフルトで5時間近く待ち時間があるので残りの原稿書きをするつもり。

今回の学会はアイルランドの東大、トリニティーカレッジ・ダブリン(TCD)のなかのBurke Lecture Theatreという1会場のみで行われた少数精鋭の会議だった。テーマは“Stress, inflammation and depression: focus on novel psychotropic drug targets”でシンポジウム6つ(各シンポジウムに3〜4のLecture)(ほかにセルビエがスポンサーの夜のシンポ1つと3日目に教育シンポ[有料]、ポスター発表が数十題)があった。

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シンポジウムはすべてレビュー講演なのでこの学会で初めて発表する新しいデータ、というのはほとんどなかったが(パブリッシュされていない研究の紹介は少しあったが)、内容的にはかなりレベルの高い講演ばかりだった(ように思う。理解できないものも多かったからだ)。

ホテルは会場から歩いて25分くらいと結構距離があったが、FIFAのスキャンダルで話題になったサッカーススタジアム(過去のワールドカップの欧州予選で、ハンドの判定が見逃され、アイルランドが敗れたことがあり[相手はフランスだったかな]、アイルランドが再試合を申し込んだがFIFAが拒否し、その見返り[?]に500万ドルが融資され[結局、返済されなかったようだ]、そのお金がこのスタジアム建設資金の1部として使われたらしい)がすぐそばにあった。



2014年7月 6日 (日)

学会取材-国際神経精神薬理学会(CINP)と日本精神神経学会

順番が逆になってしまったが,先週取材したCINPと日本精神神経学会のことを少し書いておこう。といっても,もう1週間経っているので記憶は薄れている。精神神経は最終日の28日の午後だけだったのであまり全体的な感想はないのだが,CINPについてはそもそも現地(バンクーバー)にいるときに何も書かなかったのだから今さら何か書く必要もないのだが。。。

CINPを取材するのは今回が初めてだった。バンクーバーも初めてで,街の中心部は縦横の道路で区切られたわかり易い造り。コンベンションセンターはウォーターフロントにあり,トロントのそれと似ていた。きれいと言えばきれいな街だが,住むには退屈かもしれない。Irish Pubをはじめとするバー(飲み屋)が街の中心(Granville通り)にはたくさんあり,レストランや食べ物屋も多数あり,居心地は悪くなかった。

学会は6/23~25の3日間のみ出席し,26日にバンクーバーを出発。27日の夜,羽田について28日に横浜の精神神経を覗いた。

CINPで仕事と関連しないセッションとしては,“DSM-5:Death of Neuropsychopharmcology”というのを聞いた。プログラムではDebateとなっていたように記憶しているが,実際は座長1人,演者1人のシンポジウムで,講演後の質疑応答に結構長い時間を取っていた。手元にプログラムがないので座長や演者の名前も書けないが,オーストラリア人の座長は「自分は座長を引き受けたが,タイトルは聞いていなかったので,見た時はびっくりした」というような言葉から冒頭の挨拶を始め,米国精神医学会(APA)の発展とそれと反比例するかのように減少し続けるCINPの出席者数について説明していた。CINPの登録者数のピークは数年前のフランスかどこかで開かれたときで,約6000千人だったらしい。ところが,今年のCINPの事前登録数はわずか1500人。この学会は日本人の出席者が結構多いのだが,全体がそんな感じなので日本人が多い印象を受けた。

講演のほうは,DSMが出来た背景や特にDSM-IIIからの内容の変化,問題点などを解説した内容で,わかりやすい発表であった(ような印象が残っている)。過剰なmedicalization(通常の精神反応まで“病気”にしてしまう)の批判の部分など,正直,知っていることばかりだったので目新しさは感じなかったが。。

DSM-III,DSM-IV,DSM-5と進むにつれて,新しく作られた障害やなくなった障害,統合された障害もあるが,そもそも,DSMがつくられた動機の1つである精神障害の診断の信頼性(reliability)がDSM-5でむしろ低下(特に,大うつ病性障害[= うつ病]や双極性障害など)した点(発表前のフィールド試験の結果)などもすでに指摘されきた点だが,米国立精神保健研究所(NIMH)が研究用としてDSMを使用しないことを発表したことなど,DSMの役割は今後変わっていくだろう,という懸念というか予想をみな,共有しているような感じだった。

質疑応答は結構長時間あり,そちらの方がおもしろかったが,細かいことは忘れてしまった(本当は覚えている部分もあるが,もう書くのが面倒になってきた)。

精神神経学会では,28日のお昼からあった北山修の教育講演を少し聞いてみたが,少し遅れて会場に行ったら,すでに立ち見がいっぱいの盛況ぶり。決して狭い会場ではなかったが,さすが元芸能人(!)の著名精神分析医の先生。集客力は抜群で,話も時々笑いをとって上手であった。とはいっても,内容はまあ「あたりまえなことばっかり」という気がしないでもなかったが。。。。

精神分析で無意識に抑圧されている葛藤が行動に現れることを“Acting out(行動化)”というが,これはドイツ語から英語への翻訳で,もともとのドイツ語(忘れた)のニュアンスと違って,否定的なニュアンスで広まり,それがその後の精神分析(の発展)にマイナスの影響を与えたそうだ。最近では,“Acting in”とか,“Enactment”という言葉が使われるらしい。患者と治療者の関係を芝居の役者(出演者)同士の関係と捉え,acting outあるいはacting inは患者からのメッセージ(セリフ)であるので,治療者はそれに適切なセリフでもって応えることが必要で,そういうやりとり,関係(性)のなかで患者の無意識に閉じ込められた葛藤が開放され,治療につながっていく。とまあ,こんな感じだったかな。最後までいなかったので終わりの講演の終わりのほうがどういう締めくくりだったのかは聞いていない。

2014年6月16日 (月)

学会取材-日本透析学会

13日から日本透析学会の速報取材で神戸に来ている。といっても空きがなかったので泊まっているホテルは新大阪。毎日新大阪から通うのか,と始まる前は気が重かったが,三ノ宮までの列車本数が多いのと,幸い雨が降らなかったので,“通勤”にはそれほどストレスを感じなかった。

仕事とは関係ないが,前日の夜,左膝から大腿の下半分にかけて激しい疼痛が現れ,初日は歩くのもままならない状態になった。関節の痛みでないことは間違いなく,かといってひどい腫れがあるわけでもない。ただ,指で少し押すだけでも痛く,トイレに座ると立ち上がれないほどだった。まったく馴染みのない痛みで,原因となる出来事も思いつかないので,仕事を放擲して医者に行くはめになるかと心配した。ドラッグストアでバンテリン(ゲル)と鎮痛剤(イブプロフェン)を買い,なんとか収まったがどうにも奇妙な痛みだった。

透析はサラリーマンだったころ,腹膜透析(CAPD)の仕事をまとめてやったことがあるので,ある程度,なじみはあったが,久しぶりの学会だったので知らないこともたくさんあった。慢性腎臓病(CKD)の貧血治療ガイドラインが今年改訂になるらしく,今回の仕事もそれがテーマの演題の取材が中心だった。

赤血球造血刺激因子製剤(ESA)抵抗性(あるいは,ESA低反応性)というのが現在,ホットな話題らしく,ガイドライン改訂でもその部分と鉄製剤の使用開始基準や上限値が議論されているようだ。

仕事として書かなければいけない発表以外はボーと聞いていただけだが,それでも,透析患者に対してrHuEPOをたくさん使っても生命予後はたいして改善されないらしい,ことはわかった。すくなくとも,海外の試験では否定的な結果が多いようだ。

以前から言われていることだが,日本の透析医療の状況は欧米と比べてかなり特殊なようだ。腹膜透析が圧倒的に少ないこと(全透析患者約32万人のうち腹膜透析は1万人弱),透析歴20年以上の患者が8%弱もいることなど。透析患者1人あたりにかかる年間費用は約500万円だそうで,透析医療だけで,1兆5000億円の医療費がかかっているという。

2013年9月28日 (土)

欧州糖尿病学会(EASD 2013)取材終了: バルセロナはいいところだ

9/23-9/27までの欧州糖尿病学会(EASD 2013)の取材終了。あと1時間でホテルを出て空港へ向かう。オーストリア航空のウイーン経由。機体は新しくて(たぶんB777)いいのだが、満席だろうなあ。

EASDは昨年のベルリンに続いて2年連続。同じクライアントの速報仕事で、今回は仕事と関係ない演題を聞く時間がまったくなかった。原稿執筆に使う時間を優先させたのでほかのセッションに入れなかったということもある。そのおかげか、原稿アップは意外に早く行き、毎日、遅い時間ではあったが、外に出てバール(BAR)などで酒を飲んでメシを食うくらいの時間は取れた。

昨夜はクライアントとホテル近くのタブラオで晩飯+フラメンコショー。地球の歩き方(久しぶりに買った)に載っていたパラシオ・デル・フラメンコという店。かつて劇場だった建物で、昔マドリードで入った狭いタブラオと比べると、だだっ広く感じた。観光客(おのぼりさん)向けの店という印象。

ショーは思ったより素晴らしかった。素人がみるとほとんど地団太踏んでいるような高速タップがおもしろい。男性の歌声も(言葉は分からないが)透き通った高音で耳に心地よい。

経済危機で若者の失業率が20%ともいわれるスペインなので、街並みや雰囲気がもっと荒んでいると思っていたのに、こちらに来てみると、街も走っている車(特にタクシーは新しい車が多いと感じた)もきれいで、意外な感じがした。

スペインの食べ物は日本人好みのものが多いが、バルセロナは海沿いだからか、魚介類も豊富だ。といっても、すし屋のカウンターみたいなバールのガラスケースに入っているお惣菜みたいな食べ物を指さして注文しただけだが。

Sagrada初日にプレス登録と会場下見のあと時間があったので、サグラダファミリア駅まで地下鉄で行ってみた。有名(ということはバルセロナに来る直前まで知らなかったが)なガウディのまだ建築中という教会を外から眺めた。中に入るチケットの列が一時間以上待ちだったので(9/23日の月曜日はこちらも祝祭日だったようだ)中には入らなかった。

肝心の学会のほうだが、先に書いたとおり、仕事以外の演題聴講をまったくしなかったので、ここに書けることは特にない。Europa Fira(Gran Via)という見本市会場みたいな馬鹿でかい会場で、プレスルームもまあまあ充実していた(コーヒーが小型のしょぼしょぼと機会しかおいてなかったのは不便だったが)。

会場を歩いて中国語(らしい言葉)がたくさん聞こえてきた。EASDに限らないが、海外学会にくると中国人の存在が年々大きくなっている気がする。やはり人口12億(だったか)を要する“経済大国”なので、薬のマーケットも拡大の一途なのか。特に糖尿は日本人もそうだが、東洋人はなりやすいので、美食の中国人患者は莫大に増えるはずだ。

セッションは聞いていないが、saxagliptin(DPP-4阻害薬)を用いたSAVOR-TIMIのセションにたくさん人が入っていた気がする。すでにNew England Journal of Medicineの論文が掲載されたこの試験は、saxagliptin投与群でプラセボ群と比べて、心不全による入院のハザード比が1.27(95%CI=1.07~1.51;P=0.007)と有意に増加しという内容だったと思う。ベースラインで参加者のうち13%が心不全を有していた。

糖尿病治療薬がどうも、心不全によくないようなデータがいろいろ出ているようだ。

SGLT2阻害薬も次々と新しいのが出ているようで、日本オリジナル(ガラパゴス?)のものから、海外でも知られたものまでSGLT2阻害薬だけのセッションもあったが、どうなんだろうか。脂質異常症治療薬でいうと、αグルコシダーゼ阻害薬のように、どうも主流の糖尿病治療薬にはならない気がする。

さて、シャワーを浴びて15時間の帰国のフライトだ。

2013年6月26日 (水)

学会取材:米国糖尿病学会(ADA 2013)-あと2時間で出発

シカゴでの仕事も無事終了。午前の直行便で日本に帰る。今回も昨年と同じ依頼主からの速報仕事で,アサイメントの量は,個人的には時間的にも体力的にもほぼ限界に近かったが,なんとか順調にやり過ごすことはできた。

5月16日からのサンフランシスコ・米国精神医学会(APA)から始まった「ドサ周り」の1カ月半もこれで終了。この期間の3分の2は出張ないしは帰省(親の法要等)(サンフランシスコ,福岡,大阪,シカゴ2回)でさすがに疲れた。

今年前半の仕事もこれで終わり。4月までは厳しかったが5~6月はしっかり稼いだのでなんとか挽回できた。7月以降は現時点では見通しよくない。不安だが,過去5年間も同様の不安をいだきながら,年末にはなんとか帳尻を合わせられたのでなんとかなるか,とWishful Thinking(希望的観測)で自分をなぐさめている。それじゃあ,いかんのだけど。

今回のADAは上記のとおり,本来の仕事で手一杯だったので,自分のお勉強のための聴講はまったくできなかった。唯一,聴いたのが6月24日(お,オレの誕生日だった)の10:15からのNational Scientific & Health Care Achievement Awards Presentationsのあとに続いて行われた,Outstanding Scientific Achievement Award Lecture。

ドイツ・Max Planck Institute for Neurological ResearchのJens C. Bruning教授による講演,“Insulin Action-Beyond Its Classic Targets”は,消費税率(5%)程度しか理解できなかったが,それでも非常におもしろいと感じた。

わたしは知らなかったが,非常に著名な人らしいので,その研究内容は専門家では知れ渡っているのだろう。インスリンの中枢神経系(脳)におけるpleiotropic effects(多様な作用)を研究課題としている人だ。

・インスリンは視床下部弓状核(arcuate nucleus of the hypothalamus;ARC)のニューロンに作用して,グルコースと脂肪代謝を制御している。

・肥満発生に際して,炎症関連シグナルが,ARCにおいてインスリン抵抗性を惹起させる。

・肥満発生時に,ARC外のニューロンは,非生理的レベルのインスリン感受性を獲得し,その結果,体重コントロール〔VMH = ventromedial hypothalamic nucleus (視床下部腹内側核)〕とグルコース代謝〔LH = lutenizing hormone(黄体形成ホルモン)〕が障害される。

・インスリはドーパミンニューロンにも作用して,体重と摂食活動の快楽的側面(hedonic aspects of feeding)の制御にもかかわっている。

・FTO遺伝子(Fat mass and obesity associated gene = 脂肪量と肥満に関連する遺伝子)のvariant(変異体)は,ドーパミンニューロンを制御し,これらのニューロンで支配されている行動反応を調節する。

以上がサマリー部分の抄訳だが,自分で書いていてもよくわからないが,おおざっぱに言うと,摂食活動というのは基礎代謝やエネルギー消費量の過不足で影響されるような栄養学的な理由だけでなく,ドパミン系の快楽経路にも強く影響されるっちゅうことやないかな(急に大阪弁になり,すいません)。それで,インスリンもその脳内のシグナルに深くかかわっている,つまり,単純に,余分な糖の代謝(肝臓や筋肉への取込み)だけがインスリの作用やないっちゅうことや。

(このパラグラフ以下は帰国後に書いている)ダイエットがなかなか成功しないのも摂食活動のこういう“精神的側面”,“心理学的側面”が占める影響が強いからだろう。抗肥満薬として承認されている薬や開発中の薬がすべて(ほとんど?)が中枢神経系に作用する薬であるのも当然か。

話脱線だが,さらにダイエットを考えるうえで重要なのは,社会的,経済的因子だ。ADAでもそういったタイトルのセッションだか,発表があったような気がするが,時間がなく聞けなかった。

このことは,糖質制限ダイエットからみでいつか書きたいと思っているのだが,これもあらっぽくまとめると,経済的に貧しいと太りやすい(なぜなら,値段の安い炭水化物中心の食事の量が増えるから)。糖質制限に限らないかもしれないが,ダイエットをきちんと継続するには,金がかかるのだ。

2013年6月19日 (水)

またシカゴ―米国糖尿病学会(ADA 2013)取材

明日から第73回米国糖尿病学会(ADA 2013)の取材でシカゴへ行く。熊本の日本糖尿病学会(JDS)はほかの仕事と日程が重なって行けなかったので,今年初めての糖尿病関連学会だ。

先週末は母親の二七(ふたなぬか)の法要参列のため実家に帰ったが,日頃,無信心の仏教徒(だったのか?)の自分にとって,「葬式仏教」となった日本の寺と坊主の堕落ぶりを見せつけられた気がして,良い気分ではなかった(宗派は浄土真宗)。通夜にも葬式にも出ず,その後の法要も兄夫婦にまかせっきりにしている気楽な立場なので言えることだが。。。

自宅の住宅ローンを払い終わったら,近所の霊園を回って墓を買っておこう真面目に考えている。自分が死ぬときは,無駄金は一切つかわず,最低限の式と供養ですませるよう明確な指示を残しておくつもりだ。

ADAとはまったく関係ない話になってしまったが,5月末から6月初旬のASCO(シカゴ)期間中に母親がなくなったので,日をあけずしてまたシカゴというのはどうも気分がよくない。乗り換えなしの直行便で行けるのでシカゴは嫌いじゃないけど。

ADAの今年のトピックス演題がどういうものであるのか,事前準備不足で検討がつかない。いつも通りの出たとこ勝負だぁ。

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